“アコギ”らしさに五郎も納得――ヤマハ新「光るギター」(2/2 ページ)
ヤマハが、誰でも弾ける“光るギター”のアコースティックギターバージョン「EZ-AG」を発表。“アコギ”らしさにこだわった仕上がりに、ゲストの野口五郎さんも感心しきり。リードギター版の開発状況も聞いてみた。
「それは反則技です」――野口五郎さんも納得
発表会にはギター好きで有名な歌手の野口五郎さんも登場した。ギター歴40年以上という野口さんは、演奏の腕前だけでなくギター知識も豊富。数多くのギターを触ってきただけに、光るギターへも以前から並々ならぬ関心を示していたという。
EZ-AGを渡された野口さんは開口一番「演奏の前に、まず手に持ってみた感想をいわせてもらうと“座りがいい”。重心が左右にずれることなく、(リアルなギターと比べて)違和感がない」と、重量バランスの良さを絶賛。
その後、すぐにいくつかのコード進行を試し弾きした野口さんは「少し弾いただけで3つの驚きがあった。まず初心者がつまずくFのコードが簡単に弾けたこと、次に弦を小指ではじく奏法にも対応していること、そして最大に驚いたのが(リアルなアコースティックギターのように)音をマイクで拾っていること」と矢継ぎ早に感想を述べた。
EZ-AGの演奏方法は従来製品(EZ-EG)と同様に、ネック部分の弦を模した光るスイッチを押さえることでコード演奏を行えるほか、コードを押さえるまで曲が待ってくれるレッスンモード、曲にあわせて右手だけで演奏できるモードも備えている。
「こういう風な遊び方もあるんです」と旭氏が右手だけでEric ClaptonのTears In Heavenを弾くと「それは反則技ですよ(苦笑)。そこまでいくのに、普通はどれだけ苦労するか……。これは革命ですね。(ポロンポロン)あ、スリーフィンガーもできるんだ」(野口さん)
EZ-AGで新たに追加された機能としては「ミュート機能」がある。手元部分に搭載されたタッチ式のミュート用スイッチを使って、カッティング奏法(弾いた弦の振動を押さえて音を消す)に対応したのだ。
「いいことばかり言ってもアレなので要望も挙げると、好みの弦やテンションの強弱を付けられるといいかもしれないですね。でもそれぐらいしかないですよ」と、“アコギ”らしさにこだわった仕上がりのEZ-AGに、野口さんも感心しきりの様子だった。
発表会の登場時から「ヤマハとは4歳のオルガン教室からの付き合い。ギターや音響機材の共同開発にも携わったこともある。なのに、ギターはじめヤマハ製品をもらったことがない。娘用にトランペット(EZ-TP)も買ったのですが、これだけ付き合いがあるのに2カ月待ちました。ええ、普通にお店で購入しましたよ」と、グチモード全開だった野口さんだが、最後に演奏していたEZ-AGがもらえると分かると「ぜひディナーショーで使いますよ。うちのバックバンドも最近歳とってきたので、休ませてあげないと」と、上機嫌で帰っていった
ところで、“光るリードギター”の登場はいつ?
「“アコギ”が欲しい」というユーザーの要望をかなえたカタチの新製品だが、実はイージーギターの発表当初から「コード演奏だけでなくリード演奏もできる“光るギター”が欲しい」という要望も強かった。2002年12月からはミュージックイークラブ」内のコーナー「企画室」でリードギターバージョンの要望や意見の受け付けも行っていた(リードギターバージョン企画室は2004年8月31日をもって終了)。
企画室で挙げられたリードギターバージョンの基本コンセプトは以下の5項目だ。
・光ガイドを追いながら、すぐに憧れのアーティストのフレーズが弾ける
・ギターの醍醐味=リードギターパートを弾くことで、簡単にリードギタリスト気分に浸れる
・リードギターのフォルムが本物っぽく、その気になれる
・弾いてるときの感触や、スタイルなどで、自分が弾いてる気分になれる
・チョーキングやビブラート、音色など極力本物っぽい奏法を体感できる
なかでも実現が難しそうなのは、ギターの基本テクニックである「チョーキング」(弦を押さえたまま指を上下させることで、特有の音程のゆらぎを生み出す奏法)と「ビブラート」(左手の指を押さえたまま、指自体を細かく揺らす奏法)。これらのテクニックは、本来ある弦の特性を指で変化させることで独特の音を発生させるため、それを光スイッチで代替することは素人が考えても非常に困難なのは明らかだ。
旭氏をつかまえて、リードギターバージョンについて聞いてみた。
「プロトタイプまで作ったのだが、われわれが求めるクオリティを満たしきれていない状態。ユーザーからは『いっそのこと弦をつけてくれ』という意見もあるが、それだと当社が別部隊で展開しているサイレントギターと変わらなくなってしまう。ラインアップを一気に増やすというわけにもいかないので、今回はとりあえず、同じく要望の多かったアコギから製品化した。リードギターで難しいのは、やはりチョーキング。新インタフェースを含め、いろいろ試行錯誤している。だが、決して開発をやめたわけではないので期待していてください」(旭氏)
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