誰にでもお勧めできるフォーサーズの決定版――オリンパス「E-500」:レビュー(2/5 ページ)
オリンパスのデジタル一眼レフカメラ「E-500」は、カメラらしいデザインで見た目は“普通”。だがレンズセットで実売10万円を実現しつつ、使い勝手と機能のバランスがとれた仕上がりは、手堅いが使っていて安心感がある。
快適で幅広いカスタマイズ機能
前述の通り、シャッタースピードや絞りなどの撮影情報はすべて液晶モニターに表示する。2.5インチの液晶サイズは十分で、画素数も21.5万画素と高精細。情報表示は背面のINFOボタンを押すたびに表示オフ、簡略表示、詳細表示が切り替わり、高精細なため詳細表示でも十分見やすい。
豊富な撮影情報を表示する液晶モニター。これは詳細表示だが、さらに文字を大きくし、情報量を減らした簡略表示もある。この状態でOKボタンを押すと各設定を直接変更できる。たとえばISO感度に合わせてOKボタンを押せばISO感度変更画面に遷移する。ISO感度に合わせて単にコントロールホイールを回すだけでも変更できるのは便利だ
また、情報表示中にOKボタンを押すと、直接パラメーターを変更できるようになった。詳細表示では、ISO感度/ホワイトバランス/「仕上がり」/画質モードなど、ほとんどの撮影設定が変更できる。通常であればメニューから階層をたどらなければならない設定に素早くアクセスでき、非常に操作性はいい。
情報表示画面から直接パラメーターを変更できるため、撮影中はメニュー画面はあまり使わない。ただエントリー向けとしては非常に設定項目が細かい。たとえば「ISO感度ステップ」は、ISO感度の変更幅を1EV単位か1/3EV単位かで選べる。1EV単位にするとISO100/200/400……と変更でき、1/3EV単位だとISO100/125/160/200/250……と変更できる。また「ISO感度拡張」を設定すればISO800〜1600を選択可能になるほか、「ON+NF」を選択すればノイズリダクションが働き、高感度撮影時のノイズを低減してくれる。
ほかにも、レンズのフォーカスリングの回転方向とピントの移動方向を変える「フォーカスリング」、カメラの電源を切ったときにフォーカス位置を無限遠にリセットする「レンズリセット」、画像のファイル名の先頭文字を指定する「ファイルネーム編集」など、かなり細かい部分が設定できる。
また、カメラの電源を切った場合、通常であれば撮影設定は保持されるが、それを指定の設定でリセットする「カスタムリセット設定」も使いようによっては便利だ。一時的に普段とは異なる設定で撮影した場合、これを使えばすぐにいつもの設定に戻せる。リセットする設定は2つまで登録可能だ。
同じようなカスタマイズ機能では「マイモード設定」もある。これはカスタムリセットとは逆に、ボタンを押している間だけ一時的に撮影設定を変更する機能だ。比較的暗い被写体を撮影している合間に、スポットの当たった明るい被写体を撮影する場合などに重宝する。筆者のように発表会取材をしていると、プロジェクターで投影したスライドを映しつつ登壇者を撮影する、という場面が非常に多い。スライドはフラッシュオフ、ブレないようにシャッタースピードを確保するためISO感度は上げ気味、そしてなるべく絞りは絞るが、人物はフラッシュオン、絞りは開放ぎみ、ISO感度は下げる。こうした撮影設定を繰り返した撮影をするので、こうした場合に便利だ。
このマイモード設定を利用する場合、背面右上にあるワンプッシュホワイトバランスボタンをカスタマイズして利用する。このホワイトバランスボタンは、ワンプッシュホワイトバランスに加え、プレビュー/試し撮り撮影/マイモード撮影の4種類のいずれかを割り当てられる。プレビューは、設定されている絞り値まで絞り込み、被写界深度を確認する機能。試し撮り機能は、撮影データをカードに記録せず、プレビュー表示だけを行う機能。
こうした細かく、広範なカスタマイズ機能は、いずれも撮影を快適に行うために有効で、ベストな設定を見つけるのは難しいが、それを探すのもデジタル一眼レフカメラの面白さといえるので、ぜひともいろいろ試して欲しい。
快適で本格的な撮影
撮影機能については、通常のP/A/S/Mモードに加え、オートやシーンモードが用意されているのはE-300と同様だ。シーンモードは15種類用意され、各モードの説明も表示されるなど、コンパクトデジカメと同じ使い勝手で選択できる。初心者であればはじめはシーンモードを積極的に利用し、カメラに慣れてきたらマニュアル露出を試すといいだろう。
マニュアル露出モードでは、コントロールダイヤルでシャッタースピードや絞り値を変更、露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回すことで露出変更やMモード時の絞り値変更を行う。露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回す操作性は、このクラスでは一般的なので特に問題はないだろう。露出補正ボタンがシャッターボタン脇と、従来モデルとは異なる位置にあるが、慣れればこちらも問題ないはずだ。
AFは水平3点で、これはE-300と変更はなし。こちらはやや不満が残るところだが、AFの精度とスピードは大幅に向上しているようだ。暗所、コントラスト比の高い被写体でも比較的高速に、正確に合焦する。このあたりはE-300で不満を感じた部分だったのでうれしい改善だ。
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