人と機械の架け橋――ソニーの“インテリジェンス”を見てきた(2/2 ページ)
ソニーは製品やサービスそのものが「知り」「考え」「働きかける」という“インテリジェントアプリケーション”への取り組みをイベントで紹介する。内覧会で一足先に同社の考える「インテリジェンス」を見てきた。
新搭載された広角カメラモジュール「カメレオンアイ」(RPU-C1833)は、39(幅)×30(高さ)×28(奥行き)ミリ、65グラムのボディに、必要な機能を搭載。PCや画像プロセッサなどの外部機器なしに「広角レンズのゆがみ除去」「パン/チルト/ズーム」「リアルタイムの画像合成」を行うことが可能だ。
レンズで撮影される映像は円映像だが、ゆがみ除去の機能を持っているために広い範囲の物体や顔を一度に検出することが可能となっている。今回はQRIOに搭載されているが、セキュリティ分野などへの利用も見込む。
EPGもインテリジェントで進化
ソニーコミュニケーションネットワークが提供しているテレビ番組表サービス「テレビ王国」にも“インテリジェント”の要素が組み込まれる。12月20日に開始される「MyEPG」では、利用者の好みにあわせて番組を推薦してくれる「レコメンド」サービスが強化される。
MyEPGは推薦エンジン「Voyager Engine」を搭載。ユーザーの録画予約や番組表の閲覧、検索履歴などを分析・学習して、個人の好みにあわせた番組を推薦してくれる。これまでにも「メンバーサービス」として学習機能は実装されていたが、新たにリアルタイムマイニングを実現しており、操作するたびに推薦内容が動的に変化する。使えば使うほど、自分の好みにあった番組を勧めてくれるサービスだ。
MyEPGが「オススメ」してくる番組の選択基準はユーザー自身の手で編集が可能。「花に興味があって“ガーデニング”に関連する番組は見たいけど、華道”に関する番組はそれほどでもない」などといった好みを細かく設定できる。「基本的な考え方はスゴ録のx-おまかせ・まる録に近いですが、MyEPGはサーバーを利用したサービスなので、“同じ番組を好む人の傾向”に基づいた番組を推薦してくれるといった機能も備えます」(同社)
そのほかにも会場にはカメラに写った顔を自動的に認識し、その領域(顔)に対して各種のアクションを提供しれくれる「Okao-Attacker」や、携帯電話のカメラでワインラベルの写真を撮って送信するとそのワインの情報(味や飲める店)を表示し、ネット購入までも誘導してくれる「フォトナビ・ワイン」などのサービスを体験することができる。
インテリジェンスは、人と機械のよりよい関係を求める手段
「これまで、人と機械の関係は人が機械へ命令を下すという一方的なものでした。それを、機械の方から人へ歩み寄ってくる“コミュニケーション”ともいえる関係にしていくことを考えています」。同社エンタテイメントロボットカンパニーの武藤克己氏(統括部長)は、同社が“インテリジェント”へ強く傾倒する理由をこう説明する。
「インテリジェントな機能というと、大げさなものを想像してしまうかもしれませんが、実は市場の製品にもすでに反映されています。このイベントで、ぜひ“身近なインテリジェンス”を体験して欲しいですね」(武藤氏)
「“ユーザーの半歩先を行く製品を用意しなくてはならない”とは中鉢(同社代表執行役社長兼エレクトロニクスCEO 中鉢良治氏)のコメントです。よりきれいな映像、より美しい音で半歩先を行くことも大切ですが、半歩先を行く“驚き”を提供したいとも考えています。その驚きを作り出すのが“インテリジェンス”なんです」
「課題は山積しています。技術そのものについてもそうですが、技術をどのように製品へ反映させていくか、使い方をどのように提案するか、考えなくてはならないことはたくさんあります。AVのソニーとして、これまで蓄積してきたものの上に、どのようにして“インテリジェンス”をプラスしていくかが今後の課題ですね」
「知る、考える、働きかける、ソニーの身近なインテリジェンス展」は東京・銀座のソニービル8階、SOMIDOホールで12月17日、18日に両日行われる。開催時間は両日ともに11時〜18時。入場は無料だ。
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