“本格立ち上げの年”を迎えたBlu-ray――松下の戦略を聞く:インタビュー(4/4 ページ)
いよいよ本格的にブルーレーザーを用いた光ディスク製品が立ち上がる。HD DVDとの併存が決まり、また今後はBD陣営のメーカー間でも競争が始まる状況の中、松下はどのような戦略で臨むのか。デジタル家電開発の責任者である津賀一宏氏に話を聞いた。
「われわれは以前、DVD-RAMの2層化に取り組んだことがありました。しかし、これは圧倒的に難しかった。ランド・グルーブ記録のクロストークの話がありますが、むしろアドレッシングのために付けている印を、1層目、2層目で読み分けるのが大変で、正しい信号を見分けることができない。この開発中にさまざまなノウハウの蓄積がありました」
「2層化は1層に比べると圧倒的な難しさがありますが、しかしあるハードルをクリアすれば、そこから先はそれほど難しくはありません。2層化する上での問題点と解決策をすでに持っており、BDにおいてもそれを応用できますから、われわれは初代の製品化から2層対応ドライブで勝負します」
――2層化には多くのレーザーパワーが必要になりますが、青紫レーザーダイオードの高出力品調達には問題ないのでしょうか?
「(赤色レーザーは高出力品の歩留まりが悪いが)青はワット数による歩留まり変化がほとんどありませんから、コスト的な問題はありません」
――プレイステーション3(PS3)がBDのビデオ再生に対応することで、AV機器としてのレコーダー/プレーヤーのビジネスに影響は出るでしょうか?
「ゲーム機とAV機器は別のジャンルの製品です。もちろんPS3がBDユーザーの幅を広げてくれることを期待していますが、製品としての競合は心配していません。とくに日本ではレコーダーのビジネスが中心になるため、影響はほとんどないでしょう」
――最後に松下電器がBDにこだわる理由についてお話ください
「記録型がない光ディスクはありません。そして記録型の次世代光ディスクを考えたとき、選択肢はBDしかないと考えています。突き詰めれば、HD DVDとBDの差というのは、記録容量の差です。では“十分な容量”という考え方はあるのでしょうか。ニーズは想定できるものばかりではなく、将来、新たに生まれてくるものです。技術的にもっとも大容量を実現できるものしか、“次世代光ディスクとしてはあり得ない”と考えています。だからこそ、われわれはBDにこだわっています」
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