「PSP」を“テレビ以上”にするロケーションフリー:レビュー(3/3 ページ)
ソニーのロケーションフリーベースステーション「LF-PK1」と「PSP」を組み合わせて使ってみた。“ロケーションフリー”という言葉通り、場所を問わずにテレビを楽しめるアイテムだ。お風呂場や喫茶店など場所を変えながら試してみよう。
防水ジャケットは、サイバーガジェットの「ウォータープルーフケース」という商品で、買値は1000円ちょっと。見た目も価格も安っぽいが(失礼)、十分に役割を果たしてくれた。ジャケット越しでも画面の視聴にはほとんど支障なく、心配していた音声も十分な音量を確保できた。シャワーがかかっても内側に水が入ることはなかったので、防水効果もまず問題なさそうだ。
GIGA PACKに同梱されている専用台に載せ、湯船の蓋に置くと、丁度良い角度でテレビを視聴できた。ちょっと不安定なのが難点だが、フットプリントが小さくて置き場所に困らない。もちろんLF-PK1に接続した外部機器を操作して、DVDビデオなどを再生することもできるから、長風呂の友には最適だ。
意外だったのは、PSPの画面が暖かいためか、湯気が充満したお風呂場でもあまり曇らなかったこと。一般的な防水テレビでも画面が曇って見にくくなることが多いから、これは思わぬ発見だ。画面サイズはともかく、使い勝手、機能ともに既存のお風呂テレビに勝るとも劣らないと思う。おかげで、また長風呂が増えそうだ。
ホットスポットでTVへ行ってみる
次は、NetAVを検証するためにホットスポットになっている喫茶店に行ってみる。ホットスポットは、サービスによって接続時の認証方法が異なる点に注意したい。NTTコミュニケーションズの「HotSpot」の場合、SSIDやWEPキーの設定にくわえ、ネットワーク接続時にWeb画面でIDとパスワードを入力する必要がある。このため、PSP側でネットワーク接続設定を行う際に「インターネットブラウザを起動する」を選択しておく。
「PSP」のメニューからロケーションフリーTVを選択すると、いつものように接続先の選択画面が表示された。さきほど設定したHotSpotを選ぶと、アクセスポイントに接続してIPアドレスを取得。Webブラウザが起動してログイン画面を表示した。ソフトウェアキーボードでパスワードを入力してログインが完了したら、Webブラウザを終了。すると、しばらくブラックアウトしてからTV画面が表示された。
映像のビットレートは、無線LAN接続と同様に1〜5の5段階で設定可能。5や4では画質はクリアだが、コマ落ちが目立つ。2〜3秒の動画を表示しては一瞬停止するといった具合で、たとえばスポーツ中継を見るには適さないかもしれない。
逆にビットレートを3以下に落とすと、コマ落ちはなくなるものの、動きの激しい部分でブロックノイズが目立つようになった。人物の顔も細かい部分が潰れてしまいがちで、とくに1や2ではテロップもほとんど読めない。その代わり、音の途切れはなくなったため、情報ソースとしては使えそうだ。
後で回線速度を計測してみたところ、ホットスポットは4.74Mbps(Speed rbbtoday.comを使用)と十分な数字が出ていたものの、自宅のCATV回線が上り1.88Mbpsしか出ていないことが判明。インターネットを使用する場合、どこがボトルネックになるか分からないため、すべての人にお勧めできるわけではないが、少なくともFTTHなど高速な回線なら、より快適に楽しめるはずだ。
PSPを持って帰省する
正月にはPSPを持って帰省した。実家のある静岡は「テレビ東京」がないうえ(テレ東は系列局がない)、スカパー!やケーブルテレビも未導入。また、自室にテレビがないので、帰省するたびにチャンネル不足とチャンネル争いに悩まされていたからだ。
しかし今年は違う。数年前に親をそそのかして導入させたADSLと無線ルータを利用してPSPをネットワークに接続。静岡産みかんなどをつまみながら、PSPで東京のテレビ番組やCS放送を楽しめた。ロケーションフリーTVの本領発揮だ。
しかも滞在期間が長くなると、ロケーションフリーTVのメリットが良く理解できる。移動時はPSPだけなので身軽。録画したい番組があったらDVDレコーダーのEPG画面を呼び出して、いつもと同じ操作をすればいい。レスポンスが遅いのは難点だが、メール予約などと違って、録画予約を画面上で確認できるのが嬉しい。そしてテレビに飽きたら、PSPの機能を使ってゲームやMP3音楽、Webブラウズなども楽しめるわけで、ここまでくるとポータブルテレビというよりは「自宅のAVシステムをミニチュア化して持ち歩いている」ような印象だ。
ソニーによると、ロケーションフリーTVのメインユーザー層は、海外赴任や出張の多いビジネスマンという。しかし実際に使ってみると、それ以外の人たちにも十分にメリットがあることを実感できた。PSPを既に持っているなら、大きな画面をゲームだけに使っているのは勿体ない――とさえ感じる今日この頃だ。
そんなわけで、LF-PK1は“自分へのお年玉”として無事購入(ちなみにPSPは“自分へのクリスマスプレゼント”だった)。わが家のAVラックに定位置を得た。
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