「BRAVIA」で勢いづくソニー、その“巻き返し”戦略を聞く:インタビュー(3/3 ページ)
このところ、苦境ばかりが伝えられるソニー。しかし、世界最大の北米市場を預かるSony Electronicsの小宮山英樹社長は強気だ。ディスプレイ事業では米国における「BRAVIA」ブランドの成功を挙げ、パーソナルオーディオ分野での巻き返しも誓った。
「今は大量得点で大差を付けられ、最終回土壇場まで追い込まれている状態。しかし、まだ決着が付いたとは思っていない。コネクトサービスは音楽配信だけではなく、電子ブックの販売やPSPへのビデオダウンロード販売など、あらゆるネットメディアを繋いでいく総合サービスへと発展させる」
そして、その鍵となるのが、ユーザーとコネクトサービスをつなぐ架け橋であるソフトウェア「CONNECT Player」であるとした。現在、CONNECT Playerの完成度はアップルの「iTunes」に遠く及んでいないが、ユーザーのフロントエンドとして重要なエレメントであることは間違いない。“この夏”とするテコ入れが、空振りに終わらないよう願いたいところだ。
HD DVDとBlu-ray Disc、2陣営に分かれている次世代光ディスク事業に関して、北米市場での見通しについてもコメントした。
「BDについて、どのように事業を進めるかはソニー内部でも重要な部分。まさに現在、ソニー内部で戦略を揉んでいるところだ。しかし、いずれにしてもすぐに事業として成果が出るものではない。過去の例から見ても、新しいフォーマットが市場として立ち上がるまでには時間がかかる。立ち上がり期間は以前より短くなってきているが、それでも1年半ぐらいは離陸までの時間がかかる」
しかし“離陸期間”という意味では、東芝がいきなり499.99ドルという値付けを行い、市場立ち上げの加速へと動いた。これについて、ソニーはどのように見ているのか。
「以前から低価格路線でくる噂はあったので驚いてはいない。東芝も負けないよう企業として努力しているだろう。東芝は最初から“量”を狙う戦略で来たが、(499ドルという価格が)どこまで市場にインパクトをもたらすかといえば、それはどうだろうか」
むしろ東芝が安値に振ったことで普及の立ち上がりが早くなり、BD関連製品の動きが当初予定していたよりも速くなるのではないかとの見方を示した。
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