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ヘッドフォンでリアル5.1chサラウンド――オールエイ「CORAL」レビュー(3/4 ページ)

深夜族の強い味方がヘッドフォン。オールエイの「CORAL」(AL-DP100)は、内部に合計8基のドライブユニットを内蔵することで、“リアルな5.1chサラウンド”を再現するヘッドフォンだ。米Dolby Laboratoriesも認めたそのサウンドを体験してみた。

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迫力は十分だが、前後音像の分離は今ひとつ

 実際にそのサウンドをチェックしてみよう。今回は試聴用としてDVDプレーヤー(東芝 RD-XS53)を用意、光デジタル端子で接続した。また、家庭用ゲーム機(PlayStation 2 SCPH-30000)と自作PC(ソルダム TiPOベース/Celeron 2GHz)も用意し、こちらでも視聴してみた(接続はこちらも光デジタル端子)。再生用ソフトウェアはPlayStation 2が標準DVDプレーヤー(バージョン3.00)、自作PCがPowerDVD 6.0だ。

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本製品をRD-XS53の隣に設置。ラックのすき間にピッタリ収まった

 視聴用ソフトには個人的な趣味で「頭文字<イニシャル>D THE MOVIE」「ブレイド3」「ディレクターズカット ブレードランナー 最終版」の3本を用意。5.1chの効果が比較的分かりやすい、アクションシーンの多い作品を集めたつもりだ。また、Dolby Laboratoriesが提供しているDolbyDigital 5.1ch用のデモディスク「The Dolby Experience」も用意した。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 さすがに実際にスピーカーを設置した5.1chシステムより音像の位置関係はハッキリせず、サラウンド感にも乏しい。しかし、サラウンド音場を通常のヘッドフォンで仮想的に再現するドルビーヘッドフォンなどに比べると、音の位置をよりしっかりと認識することができるようだ。また、音に包み込まれるような感覚を強く受けるのは、密着感が高いヘッドフォンならではの良さだろう。

 ただ、各スピーカーから耳までの距離が近いという弱点を完全に補うまでには至っておらず、どうしても頭の中心から頭頂部にかけての部分に、音像が集中している印象も受けた。特に、本来は前から来るように感じられるべき音(センタースピーカーの音)が横から入ってくる感覚には、違和感を禁じ得ない。

 ヘッドフォンそのものの特性という点では、高音から低音まで比較的バランスの良い、素直な音を出すようだ。ガラスが割れるような高音や地鳴りのような低音はもう少し強調されたほうが5.1chサラウンドの効果を体感しやすいようにも思うが、全体的なバランスとしては過不足ない印象だ。

 ウーファーと連動するバイブレーションモーターもなかなか効果的。「頭文字<イニシャル>D THE MOVIE」の車が眼前を通過する際の唸る低音や、「ブレイド3」の銃撃戦シーンでとどろく爆発音などを、振動という物理的な感触とともに楽しめる。やや力業という印象もあるが、なかなかのアイディアといえるだろう。

 決して巨大とは言えないハウジングに4つのユニットを詰め込んだ弊害もある。フロントとリア(サラウンドバック)の音像位置が非常に近く、判別が難しいのだ。デモディスクの「The Dolby Experience」には映画「House of Flying Daggers」(邦題:「LOVERS」)でチャン・ツィーが円状の舞台で踊るシーンが収録されているのだが、この場面で前後の音像位置を聞き分ることはかなり難しかった。

 そのほかの5.1chコンテンツを試聴しても同様だが、リモコンでリアの音量を上げてやるといくぶんか後ろの音像が存在感を増してくる。後部からの音像がしっかりしないと締まりがなくなるコンテンツ(ホラー映画など)では、実際に聞きながら調整してやるといいだろう。

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