イッツコムに聞く“HitPot”の展開と見通し:インタビュー(2/2 ページ)
イッツ・コミュニケーションズは、神奈川県内に基盤を置くYOUテレビ、横浜ケーブルビジョン、横浜テレビ局と共同で、HDD内蔵STB「HitPot」を展開すると発表した。その背景と見通しについて、カスタマー営業本部長を務める渡辺功常務に話を聞いた。
「STBの調整に時間を取られるうえ、工事のキャパシティがわからないからです。STBには新しい機能もたくさんありますし、ユーザーに説明する時間も長くなるでしょう。最初は、とにかく手探り状態といった感じです」
「そもそも(メーカーの)初期出荷台数もまだ見えていないので、スタート時は慎重に進めることになります。ワールドカップの開催時期を考えると、物理的にタイトなスケジュールになっている点は否めません」
――新しい機器を最初に導入することがリスキーであるのは理解できます。他社が実績を作ってから参入するほうが安全という考え方もあると思いますが、あえて先陣を切って導入を進める理由は何ですか?
「1つには、競争力強化のため。録画環境も含めてハイビジョンを推進するためです。衛星放送やFTTHなど、映像を伝達するインフラやサービスが増えていますが、われわれのサービスエリア(東京都、神奈川県)は、他社にもっとも“狙われやすい場所”といえるでしょう」
「ハイビジョン化を推進する上では、エンドツーエンドの放送サービスを提供できるCATVがダントツに優位な立場にあります。たとえば7月上旬からはテレビ埼玉の再送信を開始する予定です。今後は専門チャンネルのHD化も検討していきますが、ハイビジョンを含む2番組同時録画やタイムシフトを可能にするHitPotは、重要な要素になると考えています」
「もう1つの理由は、ユーザーの方々から問い合わせが増えていることです。デジタル放送時代になると、機能が増えて分かりにくい部分も増えます。そのぶんコンサルタント的な相談を受けることもあり、中には録画機の使い方ですとか、テレビを買い替えたいといった、本来ならメーカーや販売店の守備範囲の問い合わせまで寄せられるようになりました」
「もちろん、ユーザーの相談を受けるのは地域に密着したCATVの強みですから、ニーズがあるなら相応のサービスを提供するつもりです。たとえば、昨年からユニデンとエプソンのテレビ(エプソンはリアプロ)の紹介といった周辺サービスを開始しました。積極的に販売活動をすることはありませんが、希望されたら売ります。たまプラーザにある『お客様サロン』にも展示しています」
「また先日は専任の『コンシェルジュ』チームを編成して顧客サポートに充てることを発表しました。今後は訪問系サービスを拡充することも検討していきますが、その中で、HitPotが1つの契機になるのではないかと考えています」
――最後にHitPotの導入方法や価格帯を教えて下さい。従来通り、“レンタル”と“売り切り”の2本立てになるのでしょうか?
「提供方法や価格/料金に関しては、まだ検討中です。具体的なことは5月中旬頃にお知らせすることになると思いますが、まずはサービスメニューに含める形でレンタルするスタイルが有力ではないでしょうか。最初に申し上げた通り、われわれはHitPotをCATVの放送サービスにリンクしたものと考えています」
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