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少女が紡ぎだす言葉が、家族の運命を左右する――「綴り字のシーズン」新作DVD情報

パパはリチャード・ギア、ママはジュリエット・ビノシュ。一見完璧なはずの家族が、スペリング・コンテストを背景に崩壊の危機に直面する神秘的なドラマ。家族崩壊、思い当たる方はご覧ください。

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綴り字のシーズン

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 全米が熱狂する一大イベント“スペリング・コンテスト”。日本では馴染みの少ない競技だが、この大会を追ったドキュメンタリー映画「チャレンジ・キッズ 未来に架ける子供たち」などが公開され、少しずつ知られてきている。これは11歳から15歳までの子供が参加し、複雑な英単語のスペルをどれだけ正確に覚えているかを競うもので、クラス内の大会に始まり、勝者は地区大会、全国大会へと進んでいく。アメリカでは「Spelling Bee」と呼ばれ、参加者数は約1千万人、優勝賞金は1万2千ドル、そしてラジオやテレビ中継もされるという大規模なものだ。本作は、このコンテストを背景に、ある一家に潜む崩壊の危機と再生を詩情豊かに描いたヒューマン・ドラマ。

 舞台はサンフランシスコ沿岸の都市オークランド。イライザは目立たない普通の女の子。宗教学者の最愛の父ソールは頭脳明晰な兄を溺愛し、科学者の美しき母ミリアムは仕事のことで頭がいっぱいだった。そんな中、イライザは、11歳の女の子が知らないような難しい単語をスラスラと綴り出し、スペリング・コンテストで才能を開花させる。

 ユダヤ神秘主義に傾倒し、文字や言葉に神と対話する特別な力があると信じるソールは、イライザの不思議な能力に驚き、今まで兄にあてていた情熱を彼女に注いでいく。しかし、イライザが全国大会へ向かって勝ち進むたび、家族それぞれが抱えていた悩みや問題が明るみに。イライザは、自分のせいで家族がバラバラになったという罪悪感から、たったひとりで家族の修復を試みるが……。

 イザベラが父の関心を得たことによって、家族が崩壊していく様子は、観ていて切なくなる。このイザベラが実に賢い。スペリングの能力以上に冷静な観察眼で周囲の状況を見極め、家族を思いやる心を備えているのだ。本作が長編デビュー作となる愛らしいフローラ・クロスの繊細な演技が光る。「運命の女」「Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?」のリチャード・ギアが自信家の父親を、「イングリッシュ・ペイシェント」「ショコラ」のジュリエット・ビノシュが温厚そうにみえて、実は少女時代のあるトラウマを抱える母親をそれぞれ好演。

 全米でベストセラーとなったマイラ・ゴールドバーグの原作をもとに、「ディープ・エンド」のスコット・マクギー&デイビッド・シーゲル監督が映画化。言葉が持つ神秘的な力を幻想的な映像で描きつつ、家族のもろさ、またそれを報復するのも家族なのだということを教えてくれる1本。

 バラバラになっていた光のカケラが美しい模様を形成する、母親が娘に託した万華鏡に象徴されるようだ。宗教的なこと、思想的なことも多分に含んでいるので、ちょっと軽い気持ちで鑑賞するとガツンとカウンターパンチをくらうが、家族ひとりひとりの大切さ、言葉の不思議な力に魅せられるナカナカの佳作。

 特典はスコット・マクギー監督とデイビッド・シーゲル監督による音声解説、6種類の未公開シーン、メイキングなど。

関連サイト:http://www.foxjapan.com/movies/beeseason/(公式サイト)

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