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コラム

〜来なかった未来〜 PDAはなぜ衰退したか小寺信良(3/3 ページ)

かつてPDAやハンドヘルドPCが大いに流行したことがある。だが、PCの小型化・長寿命化、ネットワーク環境の弱さ、携帯電話によるPDA機能の取り込みなどで衰退していった。ハンドヘルドPC使いの筆者が、これらモバイル機器に求められる要素を考えてみた。

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 NTTドコモではこの下期にも法人向けに、QWERTYキーボードを装備したWindows Mobile端末を導入する計画があるようだ。10本指で打てないプチプチしたキーボードでどれだけ文章入力の効率化が図れるのか、結果が出るのが楽しみである。いや意地悪な意味で言っているのではなく、筆者と高校生のあいだに、この手のキーボードで長文の入力が可能な世代がいるのかどうかを、確認したいのである。

 この法人向けデバイスというのは、PDA、ハンドヘルドPC、携帯電話のようなモバイル端末市場では穴場になっているようで、面白いデバイスが次々に投入される。

 実は先日も、法人向けに販売されていたPSION NetBook Proが一般売りしているという話を聞きつけ、を購入したばかりである。このサイズならノートPCで十分だろうという話もあるが、5万円程度でこれだけしっかりしたデバイスが買えたわけだから、比較にならない。

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今さらながら購入したハンドヘルドPC、NetBook Pro
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W-ZERO3の数倍の大きさがある

 NetBook Proは、かつてSymbianOSであったPSION NetBookをビジネス用にリファインしたモデルで、OSにはWindows CE.NET4.2を採用している。それほど新しいOSでもないので、若干過去に舞い戻った感じはするのだが、キーボードに十分なサイズを取っているため、筆者にとっては使いやすい。この原稿も、NetBook Proで草稿を起こしている。

 モバイルに求められるのは、割り切りである。自分にとって必要なものだけを集めて、あとはいらない、と捨てる思想だ。すべてを詰め込めば、ユーザーのパイは広がるかもしれない。だが旅行の荷物と同じようなもので、全部持っていけたとしても、使わなければそれにかかるコストが無駄になる。

 PCも携帯電話も、すべてを詰め込もうとしているようだが、機能の捨て方もまた、一つのアイデンティティとして成立させるべきなのではないだろうか。そして数少ない捨てたものの一つに「10本指で打てるキーボード」があるとすれば、筆者の世代にとってはひどく残念なことである。

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