ソニー、Connect Playerは「失敗」、PS3の将来性には「自信」
ソニーのハワード・ストリンガー会長と中鉢良治社長が会見を実施。現職就任から1年、改革に一応の成果は残したと述べつつも、Connect Playerについては「失敗」とコメント。11月に発売されるPS3については「高額だが将来性は高い」と自信を見せた。
ソニーは6月23日、同社代表執行役会長兼グループCEOを務めるハワード・ストリンガー氏と同社代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏によるメディア向けラウンドミーティングを実施。現職就任から1年が経過した「新体制ソニー」について、両氏がこれまでの成果と今後の課題を述べた。
ストリンガー氏、「構造改革は計画通り」
ストリンガー氏は2006年9月に発表した中長期経営方針(関連記事)に沿った改革は計画通り行われており、一定以上の成果を残していると強調。また、同社の問題として指摘されていた組織の縦割り化についても、改善が進んでいると述べる。
「設定した経営目標は、20億ドルのコストカットや工場の統廃合などを含まれているが、目標に向けて予定通りに進んでいる。これまでも指摘されてきた組織の縦割りも改善されてきた。これからは組織内でも横方向のコミュニケーションが重要となる。私は“Sony United”という言葉を掲げたが、この旗印の下で着実に進歩したと思っている」
「成功のためには、ハードとソフトのエンジニアが結婚するほど親密になる必要があるという社員がいた。それはもっともだ。昼食会やパーティなど、さまざまな機会を設け、社内の人材が交流できる機会をつくってきた」(ストリンガー氏)
中鉢氏もストリンガー氏と同様、一定以上の成果を残すことができたと胸を張る。
「社長就任時、“顧客視点を欠いた商品企画になっていないか”“技術力は十分か”“販売力は十分か”と3つの課題を指摘し、エレキの復活なくしてソニーの復活はない、とこれまでがんばってきた。まずはヒット商品を生み出すことを優先した取り組みを続けてきた」
「結果として液晶テレビ“BRAVIA”がヒットしたほか、カムコーダーとデジカメも好調。完全復活にまだ道半ばだが、想定した以上の結果を残せたのではないかと考えている。まだまだ改革は進めなければならず、構造改革と収益改善を継続し、成長戦略にも取り組まなくてはならない。2006年に取り組む課題は品質。特にソフトウェアのクオリティを高めていきたい」(中鉢氏)
「Connect Playerは失敗」――PS3の将来性には自信
現職就任時の会見で中鉢氏は「テレビ」「ウォークマン」「Blu-ray Disc」の3つを重点分野に掲げ、テレビはBRAVIAのヒットという結果を残した。
しかし、ウォークマンについては添付ソフト「Connect Player」の作り込みの甘さが批判され、iPodを凌駕するほどの成果をあげられていないほか、Blu-ray Discについても、起爆剤と期待されている11月発売のプレイステーション 3 (PS3)はその高い価格設定(下位モデルで6万2790円)を不安視する意見がある。
ウォークマンのConnect Playerについては、「Connect Playerは失敗したと言われるかもしれないが、それは性急な製品作り――アップルが5年をかけて成熟されたものを1年で達成しようとした――ことが原因。ハードとソフト、両面からの同時開発が必要だ」とハワード氏も失敗を認めた。
PS3について中鉢氏は「PS3はゲーム機として比較すると高価だと思われるかもしれないが、Blu-ray Discも再生可能で、単なるゲーム機ではない。独自のものであると消費者に判断してもらうしかない」と主張するほか、ハワード氏も「安価な製品を求めて瞬間的な変化を手にするか、高価でも将来にわたって変化を体感できる製品を購入するか。PS3は将来に対応した製品だ」と将来性に自信を見せた。
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