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“この夏オススメ”の大画面テレビ麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(4/4 ページ)

ボーナス商戦真っ只中、この夏こそ大画面テレビを手に入れたい! という読者に、「大画面テレビはすべて視聴しつくした」という麻倉怜士氏がアドバイス。今年前半の大画面テレビの動向と“この夏オススメ”の大画面テレビとは?

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――東芝「REGZA」が各方面で高評価を得ているようですね。

麻倉氏: 最近の東芝の液晶テレビはすばらしくよくなりました。それはオールモードでのハイクオリティということです。液晶テレビの多くは、抑えた画作りで破綻の少ないシネマモードに対して、リビング視聴をメインとしたスタンダードモードはかなり明るくて破綻気味になるものが多いのです。ですが東芝の「REGZA H1000シリーズ」はスタンダードモードがシネマモードのような非常に高いS/Nと落ち着いた階調感を表現できています。スタンダードでこれですから、シネマモードはもっといい。

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東芝REGZA「42H1000」(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

麻倉氏: この高画質は、独自の画像エンジン「メタブレイン・プロ」のパワーによるものが大きいですね。フルタイムでバスラインが14ビットあることによる高い階調性が生きているのでしょう。東芝は「バズーカ」ブランド時代には、ソニーやパイオニアなどを凌駕する画質を作り出していたのです。その画作りを理解している黄金時代の開発者がZ1000シリーズから開発に携わって、東芝の画質がみるみるよくなりました。今後大いに期待したいのは、その優れた画像エンジンと開発者を有する東芝が作るSEDの画質ですね。そんな夢を抱かせるほど、今回の新製品の画質は優れています。

――昨年、日本でも数社から新製品が投入されたリアプロTVですが、今年は盛り上がりに欠けています。リアプロTVは今後どうなるのでしょうか?

麻倉氏: プラズマテレビの価格が下がっているので、大画面でのコストパフォーマンスを武器にしていたリアプロの優位性が少なくなってきました。アメリカはリアプロの市場がもともとあって、そこに薄型テレビが参入して競争しているわけですが、日本はプラズマ/液晶テレビの市場がもともとあって、そこにリアプロTVが参入してきたわけで状況が違います。つまり日本の方がより厳しい状況となっているのです。

 スクリーンという“夾雑物”を使って投射するリアプロTVは、そうとう投資して技術を磨かないとプラズマ/液晶と勝負できるだけの画質は追求できないでしょう。ただ、なかにはQUALIA 006のように画質をとことん追求した製品もあります。日本でのリアプロTVの展開は、決して不可能ではないと思いますので頑張ってもらいたいですね。

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(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

 1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNのCD12、JBLのProject K2/S9500など、世界最高の銘機を愛用している。音楽理論も専門分野。
 現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。

著作
「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)──ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く
「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)──プレイステーションの開発物語
「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)──ソニーのネットワーク戦略
「DVD──12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)──DVDのメディア的、技術的分析
「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)──記録型DVDの未来を述べた
「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)──互換性重視の記録型DVDの展望
「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)──プラズマ・テレビの開発物語
「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)──新しいディスプレイデバイスの研究
「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)──シャープの鋭い商品開発のドキュメント


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