ロボットで人間を救え! レスキューロボットコンテスト:っぽいかもしれない(3/3 ページ)
神戸で「第6回レスキューロボットコンテスト」の予選会が開催された。同コンテストは、大規模都市災害における救命救助活動を題材としたもの。高校生を含む19チームが参加した。
競技は10分。瓦礫の街を模したフィールドの中にいる3体のダミヤンのうち、何体をスタート地点まで連れて帰って来られたかで順位を決める。瓦礫の街とスタート地点の間はちょっと離れており「ハイウェイ」で結ばれているので、ここを高速に移動する事も大事だ。同点のチームの順位は書類選考時に与えられたポイントによってつけられる。プレゼンテーション能力が問われているわけだ。
ロボットの台数やサイズには制限はなく、複数のロボットの役割分担も自由。同じタイプのロボットを複数用意して平行処理をする、あるいは瓦礫除去、救出、搬送と特化したロボットでチームを作るといったチームによる戦略の違いが出てくる。
岐阜高専の「ミノーズ」チーム。親子式ロボットであり、現場では、小さな子機がダミヤンを親機内に引きづりこむ。このとき、子機はダミヤンのわきのしたに腕をかけて引っ張るようにして、あまり負担をかけないように工夫されている
名古屋工業大学ロボコン工房の「NITRR」チーム。写真左の「Neutron」は救出専用ロボットで、ダミヤンを搬送専用ロボットの「Proton」のベットに乗せている。Protonのベットには透明なシールドで覆われるようになっており、搬送途中での被害をできるだけ防ごうとしている
予選会は本選に比べるとかなりルールが簡略化されている。まず、本選では操作はロボットに搭載されたカメラの映像だけを見て行うことになっているのだけど、予選では普通のラジコンのようにロボットそのものを見て操作することが許されている。したがって、Searchのフェーズは今回は存在しない。人間が神の視点でフィールドを俯瞰することができるのだ。
Rescueフェーズにも大きな違いがある。予選ではダミヤンのセンサーは使われないのだ。だから手荒な扱いをしても数を稼いだ方がいいということになる*5。
大阪市立都島工業高校機械電気科のチーム「都高機械電気」(みやここうきかいでんき)。5分35秒という短時間で3体のダミヤンを救出した。ダミヤンがもっと用意されていればあと2体は救出できた計算になる。自動車のロッドアンテナを改造して作った伸縮型のカメラ支持アームも見事だ(動画はこちら)
ロボットによる救出を競うコンテストというのは、やっぱり見ていて面白い。最初はあり得ないだろうとか思ってたんだけど、どんどんダミヤンに感情移入するようになって、見ながら「あ、それは痛い」とか言うようになってくる(吊り上げていたダミヤンが落とされたりするケースもあったのだ)。
本選では、今度はONになるダミヤンのセンサーによるダメージと合わせて、審査員による評価もつくようになる。この審査員は「主観」を担当する。「こんなロボットには助けられたくない」とかいう評価をするのだそうだ。数値による評価はダミヤンがするので、人間による評価というのはこれでいいのだろう。
本選は、8月5日〜6日に、やはり神戸サンボーホールで開催される。
*5コンテストのフィロソフィーには反するので、歓迎はされない。本当は予選にもセンサーを使いたいのだけど、数を用意する(競技をどんどん進めるためにフィールドが2面あった)のがむずかしかったらしい
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