ネットワーク機能で新機軸を示したヤマハの新世代AVアンプ:レビュー(3/3 ページ)
ヤマハの「DSP-N600」は、一見、既存モデルの「DSP-AX559」と同一に見える。しかし、“AX”ではなく“N”と記された形式名は、AVアンプの新しい使い方を意味しているようだ。
一方、Windows Media ConnectやUSBへの対応も利便性は高い。USBストレージからの再生は、ディレクトリ構成を掘り下げ、ファイル名を選んで再生させる必要がある。また、1つのディレクトリに収められている曲数が多い場合、表示までにやや時間がかかる場合がある。ファイル名から曲が明らかなように、名前の振り方も考えておく必要があるだろう。
しかしWindows Media Connectでパソコン中のコンテンツを探す場合には、曲の中に含まれているタグ情報を用い、ジャンル、アーティスト名などによる分類が行われる。分類はパソコン側で行われてから情報が送られるため、曲数が多くてもイライラさせられるようなことはない。ポータブルのUSBストレージに曲を入れておき、それをPCや本機に接続しながら曲を楽しんだり、あるいは普段、書斎で使っているパソコンと同じ音楽をリビングでも……といった使い方をしたいユーザーには利便性の高い機能といえる。
ただし、残念なことに日本語の表示には対応していない。このため日本語でファイル名を付けていたり、あるいは曲のタグデータに日本語が使われている場合は、正常に曲の判別を行えない。また音楽配信サービスなどで購入した、著作権管理の行われている曲データの再生には対応していない。これはiPod接続機能にも共通した問題点だ。
CDからのリッピング時、曲名データベースにアルファベットのみのサーバを用いることで問題を回避することも可能だが、その場合はWindows Media Playerではなく、何らかの別のリッピングツールを使う必要がある。Widnows Media Playerの場合、日本語環境で利用する場合は必ず日本語の曲名データベースを用いるからだ。洋楽のみならば問題はないが、邦楽の場合には曲名やアーティスト名が見えなくなる。また洋楽でも日本市場向けに別にプレスしているCDでは、曲名に日本語の文字コードが使われていることが多い。
AVアンプとしての基礎はしっかりしているだけに、この点だけがやや気になった。しかし、日本語表示の問題を除けば評価は上々。「AVアンプの活躍するフィールドを増やす」という意味において、非常に良い方向での進化を遂げていると思う。ネットワーク上のコンテンツを再生する際の遅延時間も少ない。まるでAVアンプにジュークボックスが繋がっているような感覚で楽しめるだろう。
関連記事
- ヤマハ、ネットワークとUSBに対応したAVアンプ
ヤマハはネットワーク対応AVアンプ“ネットワークレシーバー”「DSP-N600」を7月下旬より発売する。LAN上のPCに収納されたMP3やWMAの再生が可能なほか、ネットラジオも楽しめる。iPodやポータブルプレーヤーとの連係機能も装備 - クラスを超えた高品位再生+iPod対応――ヤマハ 新AVアンプ「DSP-AX#59シリーズ」
ヤマハから新型AVアンプ「DSP-AX#59シリーズ」が登場した。iPod対応という新提案にデジタルオーディオ圧縮音源の音質を向上させる新技術、そして同社高音質技術を数多く盛り込んだ“音にこだわった”仕様に仕上がっている。シリーズ最上位「DSP-AX759」の実力をチェックしてみた。 - ヤマハ、iPod対応の“音にこだわった”普及型AVアンプ
ヤマハが、普及型AVアンプ3モデル「DSP-AX759」「DSP-AX559」「DSP-AX459」を発表。同社高音質技術を数多く盛り込んだ“音にこだわった”仕様に、iPod対応の新提案をプラス。デジタルオーディオ圧縮音源の音質を向上させる新技術を盛り込んだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.