テーマは“硯”と“ピストン”? 東芝が液晶テレビ「REGZA」3シリーズを一新(2/2 ページ)
東芝は液晶テレビ「REGZA」3シリーズ計12モデルを一気に発表した。とくにハイエンドの「Z2000」シリーズは、外観を一新したほか、3系統のHDMI端子、新「メタブレイン・プロ」、HD DVDを意識した画作りなど注目点が多い。
テーマは“質感”、新「メタブレイン・プロ」
外観のテーマが“素材感”なら、画質のテーマは“質感”だ。新しい「メタブレイン・プロ」は、従来は別基板となっていたネットワーク部分を統合して一枚となったが、チップ構成は基本的に変わっていない。ファームウェアのグレードアップと各種パラメータの最適化がアップデートのメインだ。
新機能としては、まず「質感リアライザー」が挙げられる。これは、映像に対して7種類のヒストグラム検出を行い、ハイライト部分の“飛び”や影の“ツブレ”の中から「肌色」などの特定の色を見つけ出し、飛びやツブレを補正しながら、検出した色の中間調を豊かにするというもの。たとえば「人の顔が影でツブレ気味のとき、埋没している肌色を見つけ、いきいきとした肌を表現する」といった具合だ。
また、暗い夜景に含まれるビルのディティールを描き出したり、日差しの降り注ぐ雪景色の中で雪の凹凸が見えてくるといった効果が期待できる。「もともと放送波に含まれている情報なのに、見え難くなっている部分を修正する。制作者に意図に沿った画を忠実に引き出すための機能だ」(本村氏)。
「ディーテール・リアライザー」は、シャープネスを自動調整する。やはりヒストクグラム検出を行い、映像のきめ細かい部分(情報が多い場所)にシャープネスをかけて精細感を向上させる。同じ画の中でも、高周波成分の含まれる箇所(情報が多いところ)にだけ処理を行うのがポイント。一方、水中のシーンや青空など、滑らかな表現が必要なシーンでは、逆にシャープネスを落として“ざらつき感”を抑制する。相反する要求のため、さじ加減が重要だという。
「新カラーイメージコントロール・プロ」は、入力信号をリアルタイムに分析して色ごとに処理を行う。従来は4096色の濃度、2048色の色相・明るさを見ていたが、今回は新たに64色を輝度別に独立制御できるようになった。また、画面一杯に広がった青空など中間輝度が沈みがちの場面では、ガンマ補正を用いて暗部コントラストを保ったまま、中間調を豊かにする効果が期待できる。
HD DVDに最適化
既にお馴染みとなった「魔方陣アルゴリズム・プロ」や14ビット(バス幅)映像処理を従来モデルから継承。魔方陣アルゴリズムは4096階調のグラデーション表現を可能とし、余裕のある内部処理は情報の欠落やノイズの発生を抑える。
また、HD DVD向けにファインチューニングが行われている点も新REGZAの特徴だ。これは、HDMI接続時に新メタブレイン・プロと液晶パネルの画質設定をHD DVD素材に最適化するというもので、「東芝社内のHD DVD開発陣と綿密な連携をとることにより実現した」(本村氏)という。
具体的には「ノイズリダクションを弱めに設定する」「高精細な映像を際立たせるため、若干のシャープネスをかける」といった処理が含まれる。ただし、シャープネスはS/N重視で、また色に関しては全く手をくわえないという。「あくまで、情報が豊富な映像ソースを生かすためのファインチューンだ」。
なお、映像モードは「標準」、明るい部屋向けの「あざやか」、照明を落としたリビングで映画を楽しむ「映画」にくわえ、素材に合わせた2つのモードを用意した。「テレビプロ」はビデオ素材の映像をきめ細かく再生したいときに使用するモードで、一方の「映画プロ」はフィルム素材向け。従来は「映像プロ1/2」と呼ばれていたモードを分かりやすく言い換えた形だ。
東芝では、32型、37型、42型を9月中旬から出荷開始。47型の発売は10月中旬を予定している。なお、発表会の模様は別途掲載する予定だ。
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