ブルーレイDIGA“へ”ムーブしてみた:あ、うちももうBlu-rayですけど?(2/2 ページ)
“ブルーレイDIGA”「DMR-BW200」は、発表済みの次世代DVDレコーダーの中で唯一、i.LinkのTS入力をサポートする。HDDレコーダーなどにハイビジョン番組を溜め込んでいる人にとっては気になる存在だ。ムーブとBD-REへの書き出しを中心に試用した。
後の操作は、STBにRec-POTなどをD-VHSモードで接続した場合と変わらない。STBの「再生ナビ」(録画番組一覧)でサブメニューを表示し、「ダビング」(ムーブ)を実行すると転送開始。BW200側は自動的に録画が始まる。ダビング速度は等速のため、再生時間と同じだけの時間がかかるのは残念だ。理論値400Mbpsのi.Linkで17Mbpsの地デジ番組を伝送するのに、なぜ等速なの? そんな疑問を感じつつ、1時間番組を1時間かけてムーブ終了。DMR-BW200の「再生ナビ」(両方とも松下製なのでちょっと紛らわしい)を起動すると、ちゃんと番組が移動していた。
次に、DMR-BW200の内蔵HDDからBD-RE DLメディアへのムーブを試す。内蔵のBD/DVDドライブは、BD-R(Ver.1.1)と2層メディアを含むBD-RE(Ver.2.1)をサポート。ドライブ自体は倍速記録だが、Blu-rayは36Mbpsの転送速度があるため、17Mbpsの地上デジタルハイビジョン放送なら2×2=“4倍速ダビング”が可能だ。実際、転送時間はキッチリ15分だった。トータル1時間15分で、STBからBD-REメディアへのアーカイブが完了したことになる。
Blu-rayドライブは、既存のDVDレコーダーに比べると少し音が大きいが、うるさいというほどではなく、音が大きくなるのも起動時だけ。なんだか昔のHDDのシーク音のような音がして懐かしい感じがした。
次に、デジタルCATVの専門チャンネルの番組をBlu-rayにムーブしてみた。CS系専門チャンネルでは、SD画質のMPEG-2 TSを使用しており、ビットレートは4〜5Mbps程度だ。このため、Blu-rayへのムーブは48分の番組(編集済み)で3〜4分と、かなり速かった。実再生時間との比較なら「12倍速」以上だ。ハイビジョン映像ではないが、再エンコードの手間がなく、またメディア一枚に長時間記録できるため、連続ドラマなどの保存には重宝すると思う。ただし、それでもi.Linkによるムーブ時は、再生時間と同じだけの時間がかかってしまうのがイタダケナイ部分だ。
なお、i.Link接続した状態であれば、STB側のEPGで録画予約する際に、録画先として「D-VHS」が選択できる。こうすると直接DMR-BW200のHDDに録画できるため、後でムーブするより遙かに効率的だ。ただし、i.Link接続を常用する場合、前面パネルは開けっ放しに……(以下同文)。
では、逆にDMR-BW200で録画した番組をSTB内のHDDへムーブすることはできるのか。試しにBW200側の設定をTSモード1に変更してみたところ、残念ながらTZ-DCH2000を認識してくれなかった。製品版では状況が変わる可能性もあるが、光学ドライブを持たないSTBへムーブする意味はあまりないから、これは仕方のない部分かもしれない。
そのほか、録画予約から再生、ムーブまで一通りの機能を試してみたが、使い勝手は既存のDIGAシリーズと同じ。単にDVDドライブにBD録画機能が付いた、という印象で、とくに難しいところはなかった。機能的には「DMR-XW50/30」に準じているため、そちらのレビューも合わせて参照してほしい。
もっとも、Blu-ray以外の部分が既存モデルとあまり変わらないと思うと、今度は価格差が気になってくるのも事実だ。たとえば同じ500GバイトのHDDを搭載した「DMR-XW50」の実売価格は13万円前後(ITmedia Shoppingデータによる)。DMR-BW500が、発表時の想定価格通りに実売30万円でスタートすると値段は倍以上だ。PCでもB.T.OでBlu-rayドライブを選択すると約10万円の価格アップになるが、レコーダーはそれ以上のプレミアム度といえる。メディアもしばらくは高止まりが予想され、まだ“気軽にハイビジョン番組をアーカイブ”という用途には適さないかもしれない。
それでも「DMR-BW200」は、i.Link TS入力をサポートした唯一の次世代DVDレコーダーだ。録りためた番組をHDDの外に出したいユーザーにとって、貴重な1台であることは間違いない。
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