今年イチ押しの重厚なラブ・ミステリー――「ナイロビの蜂」：新作DVD情報

アフリカの雄大な大地で、活動家だった妻の死の真相を探る外交官の夫。陰謀の香りが漂う中、彼の心の旅は衝撃の結末を迎える。サスペンスとしても、ラブストーリーとしても堪能できる傑作。

[本山由樹子，ITmedia]

ナイロビの蜂

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　サスペンス小説の大家ジョン・ル・カレの同名ベストセラー小説を、ブラジルの俊英フェルナンド・メイレレスが映像化した「ナイロビの蜂」が、11月10日にDVDリリースされる。価格は3990円。

　特典映像は約60分で、原作者インタビュー、未公開シーン集、エイズ予防と感染者への偏見をなくすためヒロインのテッサが上演する劇中劇の完全版、ケニア・ロケのメイキング映像などを収録。

　英国外交官のジャスティンは、新妻テッサを伴い、ケニアに赴任する。テッサはスラムの医療施設の救援活動に励み、忙しい日々を送っていた。ところが、彼女は交通事故に遭い死亡してしまう。殺人事件にもかかわらず、捜査は打ち切り。疑念に駆られたジャスティンは、活動家としての彼女の足跡に踏み込む。やがてアフリカで横行する薬物実験、官僚と大手製薬会社の癒着を知り……。

　戦争や医療施設の不備などで、病気の脅威にさらされているアフリカの貧民層。だが、それは供給側からすれば、巨大な薬品市場ともいえる。前作「シティ・オブ・ゴッド」ではブラジルのヘビーな現実、スラム街の実態を描いたメイレレス監督が、ここでは先進国の視点から第三世界の現実をえぐり出す。

　本作は脚色賞、編集賞、作曲賞、助演女優賞のアカデミー賞4部門にノミネートされ、妻役のレイチェル・ワイズ（「コンスタンティン」「ハムナプトラ」シリーズ）が見事に受賞。　

　主演は「イングリッシュ・ペイシェント」「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」などで知られるイギリスの名優レイフ・ファインズ。生命力溢れる情熱的な妻に対して、ガーデニング好きで事なかれ主義の静かなる夫を繊細に好演。オスカーを受賞してもおかしくない名演なのに、ノミネートすらされないとは！ちなみに、この年、主演男優賞に輝いたのは「カポーティ」のフィリップ・シーモア・ホフマンでした。

　共演は「父の祈りを」のピート・ポスルスウェイト、「アビエイター」のダニー・ヒューストン、「パイレーツ・オブ・カリビアン／デッドマンズ・チェスト」のビル・ナイら演技派が集結。

　性格も育った環境も違う2人だが、だからこそ惹かれあい恋に落ちる。妻の死の真相を追って危険な世界に身を投じていく夫は、その過程で初めて恐るべき裏社会を知り、妻の愛の深さをも知る。感動ラブストーリーで泣きたい人、陰謀サスペンスでハラハラしたい人、いずれにせよ今年一番の衝撃作にしておススメ作品。社会派監督の深いメッセージを感じつつ、雄大なアフリカの大地で繰り広げられる濃密なドラマに酔いしれたい。

関連サイト：http://www.nairobi.jp/（公式サイト）

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