バンダイのホームロボット「ネットタンサー」を見てきた:脳みそアウトソースで多機能に(3/3 ページ)
バンダイロボット研究所の「ネットタンサー」は、ネット経由の遠隔操作やスクリプティングに対応する本格的なホームロボットだ。コミカルな外観とは裏腹に、実はかなり高機能。さっそく詳しい話を聞いてきた。
プログラミングも“身構える”必要はない。ネットタンサーは、「ボーグスクリプト」という同社開発の簡易言語を使用しており、「どんなときに」「何をするか」と繰り返し記述していくだけでいい。「BASICをかじったことのある人なら簡単に使えるでしょう」というレベルだ。しかもロボワークス3には、すぐに使えるサンプルスクリプトが多数搭載されており、無理にプログラミングしなくても、サンプルのパラメータをいじるだけでもかなり遊べる。
メールを送ってロボットを操ることも可能だ。「ロボワークス3がパソコンのメールソフト(POP3)を定期的にチェックして、ネットタンサーに宛てたメールやコマンドを抽出します。たとえば携帯電話から“留守番おねがい”とメールすると、ロボットは留守番モードになる。日本語の単語を抽出しているので、こんな平文でも構いません」(北川氏)。さらに、携帯メールの本文に直接スクリプトを書き込み、実行させるという“マニア向け”の機能も標準搭載した。「社内でも、そこまではいらないという意見が多かったのですが、これはエンターテイメントですから(笑)。“ちょっと面白そう”と感じて貰えればいいんです」。
多彩な機能を持つネットタンサーだが、一方で低価格の実験ロボットならではの限界もある。たとえば画像認識では平面的な画像しか認識できない。人やペットの顔は「あえてカメラに顔を見せようとしてくれれば、認識できる可能性はある」というレベルだ。同様に、センサー類も民生用としては精度や信頼性が不足。「家電のように100%動作するとはいえません」(芳賀氏)。このあたりが「実験用の教材ロボット」として販売する理由だ。
しかし考えてみれば、5万円のキットでここまで多機能なロボットはあまり見ない。秘密はやはり、ネットワークでパソコンとつながり、重い処理はすべてパソコン側のCPUに実行させる「リモートブレイン」だろう。「PCとリンクすることで画像認識が可能になりました。さらにネット接続により、遠隔操作やメール操作の機能を加えることもできた」。同社は昨年末の「2005 国際ロボット展」で「BN-17」(仮称)というホームロボットを参考展示したが、リモートブレインはBN-17のコア技術の1つだ。ネットタンサーは、本格的なホームロボット開発に向けた1ステップと言えるのかもしれない。
「たとえば、(ドラえもんのような)キャラクターロボットを作っても、お客が期待しているものとはギャップがあります。ネットワークを使って、その差を少しでも縮められないか? と試行錯誤した結果がネットタンサーです。そのまま実用になるものではありませんが、とりあえず楽しくて、ちょっと役に立つ。“サイエンス・エンターテイメントロボット”としてホビィストの方々に楽しんで貰いたいですね」(芳賀氏)。
ネットタンサーは、11月3日〜5日の3連休に秋葉原UDXビル2階の「AKIBA_SQUARE」で開催される「アキバロボット運動会」でお披露目の予定。当日は入場料は、児童・生徒・学生が300円、一般は500円(未就学児あるいは65歳以上は無料)。バンダイブースには、ネットタンサーの群れが待っている、はずだ。
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