「HDDコンポ時代」の幕開けを告げる1台、ネットジューク「NAS-M90HD」:レビュー(3/4 ページ)
ウォークマンとともにHDDコンポ「ネットジューク」もラインアップを一新。ウォークマンとの母艦としてはもちろん、“HDD搭載オーディオ機器”としての使い勝手も高められている。
快適な「おまかせチャンネル」
HDDに収録されたソースは「アルバム」「アーティスト」「ジャンル」「録音ソース」「フォルダ」「プレイリスト」の各項目から呼び出して再生できる。
聴きたい楽曲が決まっているときにはここから選曲することになるが、新製品には“そのときの気分やシーン”にあわせた楽曲を提案してくれる「おまかせチャンネル」が用意されている。
この「おまかせチャンネル」はHDDに収録された楽曲を「12音解析」によって自動分類し、25の「チャンネル」として提供する機能。利用している時間帯にあわせた「おすすめチャンネル」、ランダム再生する「気まぐれチャンネル」、ゆったりした曲を集めた「スローライフ」などが用意されている。
12音解析は波形データをオクターブごと12音階に分解し、メロディやコード進行、テンポ、音符の数などといった構造を解析することでその特徴を割り出す。その上でムードやジャンルといったヒトが試聴しないと分類の難しい要素を加味しながら分析している。同様の機能はパナソニック「D-Snap Audio」付属ソフトの「SD-Jukebox」にも実装されているが、より詳細な分析が行われている(ソニー)という。
最終的な分類は実際に試聴しながら行ったというだけあって、その分析はなかなかに的確。「スローライフ」を選べばBelle&Sebastianの「Beyond the Sunrise」、「シフトアップ」ではMy Bloody Valentineの「What You Want」、「パーディータイム」ではMobyの「Honey」などツボをついた選曲をしてくる。
また、おまかせチャンネルの利用中にリモコンの「A」(Artist)、「Y」(Year)、「M」(Mood)を押すと、Aならば聞いているアーティストと同じアーティストの曲、Yならば聞いているいる楽曲の発売された年代から、Mならば聴いている曲の曲調から、関連する楽曲が自動的に再生される。
試しにおまかせチャンネルでOrbitalの「Tension」を再生している最中に「M」ボタンを押してみると、Charlatansの「You're So Pretty」が選曲された。ムードのあるテクノポップ系という意味でニュアンスは共通しており、なかなかいい感じだ(分かりにくい例で申し訳ない)。
強力無比なエアチェック機能
本製品が備える解析・分類機能を活用できるのは「おまかせチャンネル」だけではない。録音されたラジオ番組についても適用可能で、トークと音楽を分離してくれる。これによって、本製品は強力なエアチェックマシンという側面も併せ持つことになった。
ラジオ録音については、日付や時間、局などのほかに録音フォーマット、ビットレートが設定可能で、設定画面で「トラックマーク」を「オート」にしておくと自動的にトークと音楽を分離しながら(別トラックとして)録音してくれる。
実際にFM放送を「オート」設定で録音してみたが、驚くほど的確に分離されている。ラジオ番組で楽曲を流す場合は「……ではここで1曲お届けします。RIP SLYMEの新曲でブロウ」などと紹介が行われた後に実際の楽曲が流れるが、分離された楽曲トラックを確認してみると、「RIP SLYMEの新曲でブロウ」という部分から実際の楽曲が録音されていた。
録音された楽曲トラックは「HDDジュークボックス」――「録音ソース」――「チューナー」から確認できる。トラック名の冒頭に、楽曲は「M」、トーク部分は「T」のアルファベットが付記されるので判別は容易だが、残念ながらMD録音時のようにMusic IDによる曲名情報などの自動取得は行えない。
トーク部分が混ざるのでMusicIDによる解析は困難だと想像できるが、FM放送だけでも、ANY MUSIC経由で提供される「FMオンエア情報」でフォローすることが可能だったのではないだろうか。次期モデルでは改良を期待したい部分だ。
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