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デジタル分野総ナメ――「2006年デジタルトップ10」麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/4 ページ)

今年最後の「デジタル閻魔帳」は、2006年に麻倉怜士氏の印象に残ったモノを、ランキング形式で紹介する「麻倉怜士のデジタルトップ10」。ハードだけでなくソフトまでカバーする総合ランキングにランクインしたデジタルトピックスは?

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――9位にはULTRASONEのヘッドフォン「edition9」が入りました。

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麻倉氏: ULTRASONEは90年代にできた若いメーカーですが、音が非常にいいですね。ヘッドフォンといえばホームオーディオというくくりでは“ひとつ下”に入ってしまいますが、ワイドレンジで情報量もあり、自然な先鋭感、解像感を持っています。“音をモニターするぞ”という気概を感じさせる製品で、高級ヘッドフォンにおいて確固たる地位を占める製品だと思います。

 iPodのヒットで小さなカナル型が売れていますが、本格的な密閉型にはそうした小さなヘッドフォンには出せない安定感、ピラミッド感というべきものを備えています。こうしたヘッドフォンで音楽を聴くと、さまざまなボキャブラリーを持っていることを再確認できます。

 私はiPodに48kHzのリニアPCMで音楽を収録しています。iPodはブライトな音を得意としますが、これにedition9を組み合わせるのもいいですね。

――8位はダイソンのコードレス掃除機「ROOT 6」です。白物家電がランクインするのは初めてですね。

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麻倉氏: これは「とにかく掃除をしたくなる」という非常に革命的な製品です(笑)。電池駆動ながらもハイパワーで、ゴミがいくらたまっても吸引力が落ちず、しかも軽い。ガンタイプなので、持ったときの感触もよく、自分の意志を機械に伝えるというプロセスを反映させることができますね。さあ、獲るぞという感じ。

 自由自在にホコリをとることが可能で、しかも軽量です。AV機器が大量にある私の部屋はAC電源を確保すること自体が難しいこと多いですが、それでも大丈夫。通常の掃除機でおおざっぱに掃除して、これで細かいところを掃除するのがいいでしょう。掃除という「作業」を楽しく、エンターテイメントにできる、感動型家電商品ともいえるのではないでしょうか。

――7位はキヤノンのハイビジョンビデオカメラ「iVIS HV10」です。今年発売のハイビジョンビデオカメラとしてはソニーの「HDR-HC3」もありますが、キヤノン製を選んだ理由はなんでしょう?

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麻倉氏: ビデオカメラに関してはHVやHDD、SDカードなどさまざまなメディアを利用する製品が登場していますが、HV10は画質面で飛び抜けた存在です。民生用フォーマットでの記録ですが、解像度が高いだけではなく光の強さなどハイビジョンのリッチな映像情報をしっかり記録してくれます。ハイビジョンはこれだよねという納得感のある画質です。

 このコンパクトさも特質すべきポイントでしょう。SDカードを利用するパナソニックのハイビジョンビデオカメラ「HDC-SD1」より小さいのですから。キヤノンは凝縮感を感じさせるデザインの哲学を持っていますね。同社は1983年ごろから8ミリカメラを製造していますが、HV10は同社の動画テクノロジの集大成ともいえる製品だと思います。

――6位にはアクティブアイリスなしで15000:1という高コントラスト比を実現したことで話題となった日本ビクターのHDプロジェクタ「DLA-HD1」ですね。

麻倉氏: 今年は10機種近くのHDプロジェクターが登場しました。イベントなどで試写をしても720pはそれほどでも、フルHDは押すな押すなの盛況で、注目度の高さがうかがえますね。デバイスの競演という側面もありますが、DLA-HD1がすごいのは、自社開発の反射型液晶デバイス「D-ILA」を使いこなしてここまで到達したことです。

 映像も非常に素晴らしいです。アクティブアイリスを使わずに15000:1までのコントラスト比を実現している製品はこれだけです。プロジェクターを語る上でネイティブのコントラストはとても大切な要素で、宇宙空間のように、暗い映像の中で明るい映像があるようなシーンでは、非常に威力を発揮します。

 それに、ガンマや階調感も良くなってきました。DAL-HD1はキセノンランプを利用していないのですが、キセノン的というか、赤の再現性がとてもよい映像になっています。2005年に発売されたこれまでのハイエンド機「DLA-HD11/12」を価格で下回り、性能で上回っているといえるでしょう。

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