CESで見えてきた2007年の薄型テレビ市場:2007 International CES
「2007 International CES」が閉幕した。展示面積は、CES史上最大の展示面積180万平方フィート。2800もの企業や団体がブースを連ねる広大な展示会場を歩いていると、今年のトレンドが見えてくる。
「2007 International CES」が閉幕した。期間中の来場者は14万人で、このうち海外からの来場者が2万6000人を超えた。展示面積は、CES史上最大の展示面積180万平方フィート。2800もの企業や団体がブースを連ねる展示会場を歩いていると、今年のトレンドが見えてくる。
ここ数年、CESで最も注目を集めているのは薄型テレビだ。LG ElectronicsやSamsungなどアジア圏のメーカーを中心に“World's Largest ”(世界最大)を競い合うのが恒例行事のようになっていた。ただ、去年はパナソニックの103インチPDP、今年はシャープの108インチAQUOSと2年連続で日本メーカーがWorld's Largestを獲得し、他社の出鼻をくじいた格好になった。実際、某社のプライベートブース(一般来場者は入れないバイヤー向けの展示室)に「The World's Largest LCD」と書かれた100インチ液晶がひっそりと……。
大きさの勝負が一段落した一方、薄型テレビメーカーは各方式の弱点を補うことに注力している印象を受ける。シャープや東芝などの液晶テレビメーカーが一様に倍速駆動を採用して“動画応答性”の改善に努めた一方、PDPではパナソニックと日立はフルハイビジョン解像度の42V型の試作機を披露。以前はフルハイビジョン化が難しいと言われていたサイズを実現してみせた。
パナソニックの42V型PDP。カンファレンスでは出荷スケジュールなどを明らかにしなかったが、「製品化する気のないものは展示しない」というのが同社のスタンス。実際、昨年発表した103V型PDPは年末までに日本と北米で発売している
42V型といえば、各メーカーがリビングルームに置くメインテレビの“売れ筋”になると期待しているサイズだ。つまり、フルHD PDPが小型化することで、液晶とプラズマの両方式がボリュームゾーンで再び正面からぶつかることを意味する。そして同時に、今までは“ちょっと贅沢なもの”という印象だったフルHDが一般化していくのだろう。
もう1つ、CESで注目されたスペックが「コントラスト」だ。パイオニアはコントラスト比2万対1以上のPDPを展示して人気を集めたが、ほかにも見るべきものが多かった。たとえばTI(DLP)ブースに展示されていたリアプロTVのリファレンスモデルは、コントラスト比が10万対1、Samsungの超高コントラスト液晶も10万対1、ソニーの有機ELプロトタイプに至っては100万対1だ。
テキサス・インスツルメンツが展示したコントラスト10万対1のリアプロテレビ。LED光源を採用し、それに最適化した0.65インチチップセットを搭載。従来比10倍のコントラスト性能により、明るい部屋でも快適に視聴できるという
上に挙げた展示機のうち、年内に製品化されそうなのはパイオニアの60インチPDPくらいだが、国内ではほかにもシャープの「メガコントラスト液晶」(100万:1)やキヤノン/東芝のSED(10万:1)が控えている。とくに液晶の場合は、弱点の1つとされる暗所コントラストの改善に繋がる可能性もあり、期待が高まるところ。2007年はハイクオリティな薄型テレビが多く登場してマニア層を惑わすことになりそうだ。
なお、残念ながらSEDは今年のCESに出品されなかった。開催直前に「業務用途に方向転換」などと報道される場面もあり、展示しないことについても疑問や憶測を呼んだが、結局はライセンス問題の絡みで北米でのプロモーション活動を控えざるを得なかったようだ。CES期間中にSEDパネル生産をキヤノン単独に切り替えることが発表され、事情を察した人も多いのではないだろうか。
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