「x.v.Color」って何が違うの? ソニーに聞く(2/2 ページ)
ビデオカメラの新製品の登場が相次ぐ中、ひときわ注目を集めているのがソニーのハンディカム。ハイビジョン化が進むなか、同社の「HDR-UX7/UX5」および「HDR-HC7」は、初めて新しい広色域色空間の国際規格「xvYCC」をサポートした。しかし、x.v.Colorに対応すると実際の映像はどう変わるのか。ソニーに聞いた。
加藤氏:たとえばレーザー光のような、人工的な極端な色はxvYCCの色域に含まれていませんが、それを忠実に再現する必要があるのは、科学研究など特定の分野だけでしょう。通常の撮影シーンでわれわれが目にする被写体の色は、ほぼすべて表示できると思って構いません。
――UX7/HC7では撮像素子が新しくなっていますが、x.v.Color対応のためですか?
加藤氏:基本的に(x.v.Color対応は)信号処理の工夫になるので、従来の撮像素子でも対応できます。
吉川氏:UX7/HC7には新しい600万画素のクリアビットCMOSセンサーを採用していますが、UX5は従来と同じ400万画素です。x.v.Colorへの対応については、クリアビットCMOSセンサーと「Enhanced Imaging Processor」のペアで実現しています。
――まだテレビ側は“BRAVIA”「X2500」シリーズ以外に対応製品がありません。再生環境についてはどう考えていますか?
吉川氏:今のところは、限られた対応製品を買ってもらうしかありません。しかし、今後、映像機器の色域が拡大されるのは間違いない方向性だと思っています。たとえば、ハンディカムでお子さんを撮影して、大きくなってから見直す。そのときにはx.v.Color対応製品が自宅にあると思います。今から広い色域で映像を記録しておけば、いずれ(一般化した)対応テレビで再生できるわけです。われわれとしては、「テレビも必ず変わるので、今から撮ってください」とお伝えしていきたいと思います。
――カムコーダー、テレビ以外の対応状況を教えてください。
吉川氏:ハンディカムのAVCHD対応機はDVDメディアに記録しますから、まず再生するソリューションが必要です。このため既存モデルのうち、北米向けに昨年末に発売したBDプレーヤー「DB-S1」と国内向けのBDレコーダー「BDZ-V7/V9」に関しては機能的にサポートしています。製品の発表が昨年だったのでリリースなどには記載していませんが、ソニーのWebサイトで順次アナウンスしています。
――編集について教えてください。たとえば、i.Link経由でパソコンやDVDレコーダーに映像を取り込み、編集したとき、x.v.Colorの色域情報は保持されるのでしょうか?
加藤氏:製品やソフトによります。基本的にDVDレコーダーのHDDなら、そのまま映像信号を記録するので問題ありません。ただ、i.Linkでパソコンに伝送した場合は、編集ソフトがx.v.Colorに対応していないと、sRGBの色域外にあたる色はクリップされてしまう(sRGB色域内の近い色に割り当てる)可能性があります。
もちろん、製品にバンドルしているソフトウェアはx.v.Colorに対応していますし、他社製品でも対応可能なものがいくつかあることは確認できています。
――x.v.Colorという呼称にした理由は?
吉川氏:規格としてはxvYCCが正しい呼称ですが、ユーザーにはわかりにくいですよね。おそらく「sRGB」といっても、「sYCC」といっても同じでしょう。
“何が良いのか”を明確に伝えるため、またプロモーションの手段として、xvYCC規格に準拠した製品を「x.v.Color」と呼称し、他社と一緒に進めていくつもりです。よく「ソニーらしくないネーミング」と言われますが、一般的でもユーザーに伝わることが大事ですから。形としては、規格の「IEEE 1394」に対する「i.Link」のようなものですね。
このようなプロモーションを始めた背景には、ソニー全体のハイビジョン戦略があります。従来の製品では、“見たままの映像”を残したり、再現したりすることができなかったわけですが、ハイビジョン化により解像度の面はOK。そして次のステップが“色”というわけです。
現在、「フルHD1080」というロゴを使ってハイビジョンを推進していますが、今後は「x.v.Color」のロゴが横に並ぶことになるでしょう。ハンディカムのハイビジョンモデルは今後、すべてx.v.Color対応になります。
――xvYCCという規格、そして「x.v.Color」という呼称を他社が使用してくれる見通しは立っていますか?
加藤氏:電子情報技術産業協会(JEITA)のカラーマネジメント標準化グループ(ワーキンググループ)でxvYCCを策定した時には十数社が参加しました。ソニーと三菱電機の2社が主導したのは確かですが、温度差はあってもほかのメーカーも賛同し、協力してくれたわけです。
われわれはこの技術を独自のものとは考えていませんし、業界標準として広めるものだと捉えています。標準化グループの企業数を考えれば、数年内にはかなりの数(の製品)が対応してくるのではないでしょうか。
吉川氏:家電量販店の店先を見れば分かるように、薄型テレビでも“色域の拡大”を謳った製品が増えてきました。色域の拡大については、メーカー/消費者ともにニーズが高いと考えています。
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