「インターネットAQUOS」にみる、AVとPCの“分離”(2/2 ページ)
AV機器とPCの“いいところ取り”を目指す新「インターネットAQUOS」。しかし、気をつけなければいけないのは、従来のテレパソとは異なるアプローチで設計されていることだ。
では、何が今回の変化を促したのか。考えられるのは、ターゲットユーザー層の違いだ。
従来のインターネットAQUOSは、デジタル放送時代のテレパソの先駆けとして登場し、マニアックな弊誌ライター氏に「地デジPCの本命か」と言わせるほど高機能だった。しかし、販売の現場では「薄型テレビが好調な中、PCがあるぶん割高なインターネットAQUOSは、認知不足もあって苦戦した」(同社)。
冒頭で触れたように、今回のターゲットは、20代から30代の単身者、あるいはファミリー層のパーソナルルーム需要だ。主目的は、PCで動画を扱うことより、テレビの視聴と録画。PCの仕事は、主にWebブラウザの画面を提供することだ。
インターネットAQUOSのリモコンを見ると、それがよく分かる。表面のボタン数は、従来機の61個から38個へ約40%の減少。赤外線とRF無線の両方を搭載し“テレビに向けてパソコンも操作できる”という。個人的にはそそられる仕組みだが、裏を返せば“パソコンを操作したいのに、ついリモコンをテレビ画面に向けてしまうような人向け”だ。
また、インターネット検索を数字キーで行える点もポイント。テレビを見ていて、気になる言葉が出てきたら「PCメニュー」→「文字入力」ボタンを押すだけで、AQUOSの入力が切り替わり、PC上で検索が可能になる。文字入力は携帯電話と同じ方式を採用し、専用の予測変換機能まで備えている。「最近はTV CMでも“ネットで検索”を求めることが多い。それにいち早く対応した」(同社)。
裏を返せば、見たい番組をすべて録画しておき、CMカット&アーカイブしてから“一気見”するようなコアなユーザー層は、視野の外にあるということだ。
PCユーザーの視点からは「PCとAVの融合」の反対方向に進んだように見えるインターネットAQUOS。ただし、「AQUOS」ブランドを入り口にして、初心者層をPC側に引き込む仕掛けは豊富だ。薄型テレビ市場でAQUOSが人気を集める中、この路線変更が吉と出るのか。新型インターネットAQUOSは、3月上旬から順次発売される。
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