ヤフーがテレビに期待すること:インタビュー(2/2 ページ)
発表された「BRAVIA J」に搭載されたネットワークアプリケーション「アプリキャスト」。パートナー企業としてコンテンツを提供するヤフーに、同社がテレビへ期待する理由を聞いた。
PC向けの情報提供サービスからスタートした同社だが、前述したように現在はデバイスの種類を問わず、どこでもヤフーが使える――「ヤフーエブリウェア」――構想の実現を目指している。これまでは携帯電話向けサービスの拡張を急いでいたが、現在は次のステップへ歩みを早めており、現時点のメインターゲットはテレビだ。
――ヤフーというサービスから、「テレビ」はどのように見えるのでしょう
坂東氏: PCとテレビは物理的は似た側面を持っていますが、生活における使い方は相当違うはずです。PCは個人のものですが、テレビはみんなのものです。テレビを情報の出口とする際、パーソナライズ的な側面の強いサービス――メールなど――は不向きだと思いますが、「みんなでインターネット」には適しているはずです。
それに、テレビはAV機器ですが、ヤフーの提供するサービスでAV的なもの(フォトやムービーなど)は全体のほんのわずかです。ですが、いくつかの情報をパッケージ化してテキストや音声で提供するなど、テレビに適した「提供の仕方」はたくさんあると思います。
情報を積極的に得るためのツールとしてはPCはベストだと思いますが、ヒトは常に明示的に情報を求めているわけでもありません。利用者の求める情報を上手にカスタマイズしながら、PC的/テレビ的な情報提供のアプローチを両立させるのが目標ですね。
――そもそも、なぜテレビにコミットするのですか?
坂東氏: 現在、多くのユーザーがテレビを見ながらPCや携帯でインターネットに触れています。「ながら視聴」がスタンダードなスタイルになりつつあるということですね。そう考えると、インターネットとテレビが競うのではなく、融合するのが理想的ではないかと思えるからです。テレビの画面を取りに行くのではなく、ユーザーの利便性を向上させるために、テレビへコミットするのです。
――「テレビを見ながらインターネット」というながら視聴の快適さを提供するというのは理解できますが、アプリキャストは発表されたBRAVIAでしか使えません。その他のテレビへ同種サービスを提供する計画はありますか。
坂東氏: アプリキャストを利用したスタイルで提供できるのは現時点ではBRAVIA Jですが、ほかのテレビやSTBなどのデバイスへサービスを提供できる準備は整っていますし、2画面表示機能とWebブラウザを搭載したテレビならばテレビとネットのながら視聴は可能です。
PCと携帯以外のデバイスへのサービス提供は継続していきます。今はまだカーナビ(日産自動車のカーウィングス:関連記事)とテレビだけですが、APIを基準化してさまざまなデバイスでヤフーが利用できるようにしていきます。情報のマルチアクセス化を進めていくとも言い換えられますね。
――まずは「トピックス」「画像検索」「オークション」の3種類をアプリキャストで提供しますが、投入を検討しているサービスはなんでしょう
坂東氏: オークションへのID導入や株価情報や路線検索など、いろいろなサービスを提供する準備は整っていますが、まずはユーザーからの反応を見てからですね。
――魅力的なサービスを用意したとしても、ユーザーがテレビをインターネットに接続してくれなければどうしようもありません。
坂東氏: ゲーム機はスタンドアロンだけの時代もありましたが、徐々にインターネットに接続される台数も増えていますよね。テレビにも同様の期待をしたいのですが、「ネットにつなぎたい」というモチベーションをどう持ってもらうかはやはり課題と言わざるを得ません。テレビの画面にインターネットからの情報を表示できればもっと楽しくなる、ということをアピールしていくことになると思います。
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