HDMIコントロールは“アイデア勝負”――松下「VIERAリンク ver.2」(2/2 ページ)
薄型テレビやDVDレコーダーを購入するとき、気になるのがHDMIコントロールによるリンク機能だ。この分野で先行した松下は、4月発売の新DIGAで「VIERAリンク 」をアップデート、「ver.2」として送り出した。その機能と進化の方向性について、同社商品企画グループビデオチームの助川学氏に話を聞いた。
HDDを待機状態にして録画時のレスポンスを向上させる手法は、シャープ「AQUOSレコーダー」の「クイック起動」と同様のアプローチだ。ただし、AQUOSレコーダーが同機能をオンにすると常時待機モードになるのに対し、新DIGAでは「VIERAの電源が入っているときだけ」HDDを待機モードにする点が異なる。もちろん、VIERAの電源が入ったことをDIGAに教えるのもHDMIのコントロール信号だ。
「HDDがある程度回転している待機モードでは、毎時40ワット程度の電力を消費しますが、電源オフ状態は10ワット程度(いわゆる待機電力)と差が大きい。省エネとレスポンスの良さを両立させ、機器の一体感をさらに向上させる“1つのアイデア”ですね」(助川氏)。
なお、同機能は「レスポンスよりも省エネ優先」のニーズもあるため、デフォルト設定はオフになっている点に注意したい。設定画面の「ビエラリンク録画待機」をオンにすると使用可能になる。
アイデアで勝負
VIERAリンクにバージョンナンバーが付いたことで、継続的な進化を期待できる段階になったHDMIコントロール機能。一方、録画機能との連携という意味では、日立「Wooo」や東芝「REGZA」(Hシリーズ)のように、HDDを内蔵してより密接な関係を作り上げた液晶テレビもある。しかし、松下では「最終的にメディアに書き出せるという安心感を重視したい」というスタンスのようだ。
「VIERAリンクを使い、内蔵HDDとほぼ変わらない感覚で録画を開始できるようになった。テレビにHDDを内蔵するよりはむしろ、さらにテレビとレコーダーをシームレスに使える方法を探りたい」(助川氏)。
では、VIERAリンクはどのように進化していくのだろうか。助川氏は将来の展開について具体例を挙げることはなかったが、2つの方向性を示してくれた。
1つは、繋がる機器を増やしていくこと。もう1つは、ユーザーインタフェースの改善だ。「VIERAリンクでは、テレビのリモコンを使うことが前提になっていますが、実際にはDIGAのリモコンを使ったほうが早い場面がいくつもあります」(同氏)。
たとえばVIERAのリモコンには「録画」ボタンや一部の特殊再生機能など、録画/再生時によく使うボタンが存在しない、あるいはカバーの下に隠れていたりする。また、録画予約のシーンなどを考えると、VIERAでメニューを起動するより、DIGAのリモコンに持ち替えて「番組表」ボタンを押した方が早いケースもある。つまり、ユーザーは目的に応じてリモコンを使い分ける状況から脱したとは言えない。
「現時点でかなりの操作が可能になっていますが、細かい部分をブラッシュアップしていきたいですね。あとはアイデア勝負。ver.2の高速起動や設定情報伝送もそうですが、ユーザーの使い勝手を考え、どれだけ多くのアイデアを出せるかが課題になります。VIERAリンクには、まだまだ発展の余地があります」(助川氏)。
関連記事
- 1Tバイトモデルも登場、新番組を見逃さない「ハイビジョンDIGA」
パナソニックがDVD/HDDレコーダー“DIGA”の新製品を発表。「新番組おまかせ録画」や「ジャンル別番組表」を搭載して使い勝手を向上させた。最上位機種は1テラHDDを搭載。 - 松下のBlu-ray戦略――現状と今後
CES会場近くにて、松下の次世代光ディスク事業の舵取りを実質的に判断している松下電器産業・役員の津賀一宏氏に、次世代光ディスクの現状と今後について話を聞いた。 - ブルーレイDIGA“へ”ムーブしてみた
“ブルーレイDIGA”「DMR-BW200」は、発表済みの次世代DVDレコーダーの中で唯一、i.LinkのTS入力をサポートする。HDD レコーダーなどにハイビジョン番組を溜め込んでいる人にとっては気になる存在だ。ムーブとBD-REへの書き出しを中心に試用した。 - 新製品の減ったDVDレコーダー市場
DVDレコーダーランキングはパナソニックとシャープの製品が人気を二分。次世代ディスク対応に注力しているのか、ソニーと東芝の製品は姿が見えず。 - とし子さんと学ぶ「ビエラリンク」
松下の「ビエラリンク」は、HDMIケーブルで接続した製品同士を相互にコントロールする技術だ。DVDレコーダーやAVアンプをHDMIケーブルで接続するだけで、テレビのリモコンからさまざまな操作が行える。 - 「AQUOSファミリンク」の“目の付けどころ”
シャープの「AQUOSファミリンク」は、単純に“HDMIコントロール”と紹介されることが多い。もちろんHDMI ver.1.2に盛り込まれたCECがキーテクノロジーになっているのは事実だが、実際には“合わせ技”といえるものだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.