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P・K・ディックの世界観を見事に再現――「スキャナー・ダークリー」新作DVD情報

覆面麻薬捜査官がドラッグに溺れ、現実と幻覚の区別がつかなくなっていく。フィリップ・K・ディックの小説「暗闇のスキャナー」を映像化した近未来サスペンス。実写のようで実写でない、アニメのようでアニメでない、この不思議な映像に身を任すべし!

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スキャナー・ダークリー

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「ブレードランナー」「マイノリティ・リポート」など、数々のヒット映画の原作者であるフィリップ・K・ディック。彼が1977年に発表した「暗闇のスキャナー」を映像化した「スキャナー・ダークリー」が、5月25日にDVDリリースされる。

 特典はスタッフ・キャストによる音声解説のほか、メイキング「映画スキャナー・ダークリー」ができるまで、アニメーション制作、オリジナル劇場予告編など46分を収録。

 近未来のアメリカ。そこはドラッグが蔓延した世界。なかでもとりわけ危険視されていたのが、右脳と左脳を分裂させてしまう幻覚剤「物質D」だった。覆面麻薬捜査官のボブ・アークターは、声も容姿も隠せるスクランブル・スーツに身を包み、上司や同僚すらも正体を知ることはなく、コードネーム“フレッド”として、「物質D」の撲滅に乗り出していた。

 供給源を探るため、アークターはジャンキーたちと共同生活中だが、アークター=フレッドと知らない上司は、アークターの素性を怪しみ、フレッドにアークターを監視しろと命じる。フレッドとして、モニターの中のアークターを監視することになった彼は、二重生活のプレッシャーと疲れから、任務のために服用せざるを得なかった「物質D」の量が増え、やがて精神を病んでいく。

 70年代初頭、うつ病が悪化して覚せい剤を常用し、妻にも去られたディック。自宅はドラック常用者のたまり場になっていた。次々と命を落とす彼らに捧げて書いたのがこの原作だ。リチャード・リンクレイター監督は「ウェイキング・ライフ」で編み出した手法(俳優が普通に演じている姿を撮影した後、その実写映像にデジタルペイントを施すアニメ技術)で、ディックの世界をそのまま映像化することに成功した。ゆるゆる&ゆらゆらとした斬新なビジュアルは、監視カメラの中の映像と現実を一層曖昧にさせ、別人格との間で揺れる主人公の混乱や微妙な感情のひだまでを見事に表現している。

 主演はキアヌ・リーブス。彼の恋人であり、ドラッグの売人をウィノナ・ライダー。他にもロバート・ダウニーJr、ウディ・ハレルソンらが好演。

 アニメのようでアニメではなく、実写のようで実写ではない。不思議な浮遊感を味わえる傑作、まずはお試しを。

関連サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/ascannerdarkly/(公式サイト)

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