発想力の求められるコンパクトデジカメ
スナップ撮影ならばどのメーカーの機種でも同じ――。そんなコンパクトデジカメ市場に漂いつつある停滞感を打破するために考えられることはなんだろうか。
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先週の1位はコンパクトデジカメ市場の現状を分析した小寺氏のコラム。ここ数年のコンパクトデジカメの機能向上は目を見張るばかりであり、高画素化やブレ防止の実装、顔検出などによって、「スナップを撮る」ことだけを考えれば、正直、各社の最新モデルならばどれを選んでもさほど大きな差はつかない状況になりつつある。
「誰にも優しく、簡単」というアプローチが間違っているわけではない。コンパクトカメラである以上、そうした要望に応える製品を作るのは半ばメーカーの義務とも言える。ただ、多くのメーカーが同じ方向を向きすぎている。気が付けば、600〜800万画素/薄型/手ブレ補正/光学3倍ズームという要素を備えた売れ筋的なモデルばかりがリリースされて、強烈な個性を持つモデルの登場は少なくなっている。
現行製品の中ではかなりユニークな2製品。2G内蔵メモリとVGA液晶を備えた“アルバムサイバーショット”ことソニーの「DSC-G1」(左)と、ユニークな縦型ボディを採用し1280×720ピクセル・30fpsのHDサイズ動画が撮影できるキヤノン「PowerShot TX1」(右)
確かにスナップ用のカメラとしてコンパクトデジカメを考えれば、上記の要素を備えていれば大半のユーザーが満足できる写真を撮れるが、写真を撮る楽しみはイコール、スナップ写真をとることだけではない。
光線など外的環境まで意識したうえで自分の意図通りの写真が撮れたときはうれしいものだし、撮ったその場で写真を確認できたり、動画も撮影できるというデジカメならではのメリットをいかしたコンパクトデジカメに対する需要は(少数かも知れないが)、確かに存在している。
GR DIGITALのヒットについて、小寺氏は「写真は撮ってる時が一番面白いという人のニーズを満たしたからだと言える」と述べている。つまり、GR DIGITALは見た目こそコンパクトデジカメではあるが、その本質は銀塩カメラ的、撮ることを楽しむことに特化したアナログ的カメラなのだ。
ただし、すべてのメーカーがこうした「アナログ的カメラ」を指向する必要はない。指向すればそれはリコーの後追いでしかないのだ。ならば、せっかく発達したデジタル技術を活用することを考えるべきだが、その技術で機能を詰め込むだけ詰め込んで「どうだ!」という製品作りをするのではなく、その機能と技術でどのような楽しみ方、使い方の提案が行えるかが差別化のカギだ。その企画力、発想力を持つメーカーがこれからのコンパクトデジカメ市場をリードすることだろう。
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