約2万カットの人生を持ち歩く――「Cyber-shot DSC-G1」の開発者に聞く:永山昌克インタビュー連載(3/3 ページ)
大容量の内蔵メモリに2万枚の写真を入れて、自分の人生を持ち歩く。そんなことができてしまうユニークなデジカメがソニー「Cyber-shot DSC-G1」だ。開発者たちの話を聞いてみよう。
テレビやほかのデジカメに画像を無線転送する
――ワイヤレスネットワーク機能もDSC-G1のポイントです。どんな使い方を想定していますか?
合田氏: DSC-G1のワイヤレスネットワークは、大きく2つの機能に分けられます。ひとつは、DLNAに対応した機器にアクセスポイント経由で接続できることです。例えば当社のハイビジョンテレビ「ブラビア」に写真を送り、DSC-G1内のコンテンツを自宅の好きな場所で鑑賞できます。
もうひとつはアドホック接続によってDSC-G1同士を接続できることです。片方のカメラで撮影した写真を、単純にもう一方にコピーすることはもちろん、2台のそれぞれで同時に撮影し、2台の両方に写真を記録できます。例えば旅行先や結婚式のイベントなどで、友人のDSC-G1と連携し、異なるアングルから同時に撮影可能です。あるいは、2台で向き合って撮影すると、撮った瞬間に自分自身の姿が自分のカメラに記録される、といった新しい映像体験も生まれます。
もちろん、この価格の製品を個人で複数購入するのは現実的ではなく、現状ではニッチな使い方であることは否定できません。ただDSC-G1は、当社の成長戦略としての位置付けがあります。カメラで写真を転送する手段として、無線機能は将来的には欠かせない機能になると考えています。それをいち早く搭載し、体験してもらいたいと思います。また、ごく簡単な操作で無線接続できることが絶対条件で、その点には特にこだわりました。
――液晶部分がスライドする形状がユニークです。デザインの狙いを教えてください?
石井氏: ビューア機能とカメラ機能というDSC-G1の2面性を引き立たせるために、固定ではなくスライド式のデザインを採用しました。閉じた状態では背面は液晶のみとなり完全なビューワとして機能します。そして液晶部分をスライドさせると、ズームレバーやメニューボタンなどのカメラ機能が現れます。スライドした部分を持つことで、カメラとしてバランスよく構えられることや、スライドしつつも十分な強度を保つこと、三脚穴を省かずに搭載したことなどにもこだわりです。
また、持ち歩いて楽しむというコンセプトに沿って、外装はできなるだけプレーンな形状にしつつ、ディスプレイボタンやコントロールなどの表示用の操作部を、斜めにカットした側面に配置し3.5型の大画面液晶としてミニマムな形を追求しています。外装は、傷が付きにくいブラスト加工のアルミ素材で、開いた時に見えるレンズ周辺部にはエッチング処理を施しています。これも2面性の表現のひとつです。
――そのほか、手持ち夜景モード、光学手ブレ補正と高感度、BGM付きのスライドショー「音フォト」、MP3プレーヤー機能など見所が盛りだくさんですね。
判治氏: 言葉でいくら説明しても魅力がなかなか伝わりにくく商品といえるかもしれません。しかし、すでに購入されたお客様からの反響は少なくありません。我々開発スタッフは、様々なウェブのコミュニケーションを通じてユーザーの意見を絶えず確認しています。例えば、こんな使い方がありますよとか、この機能は要らないからこんな機能が欲しいといった意見を聞き、今後の展開に反映させたいと思っています。ユーザーと一緒になってコンパクトデジカメの新しい市場や、写真の新しい活用を広げていきたいですね。
三脚を使わずに夜景が撮れる「手持ち夜景」モードを使用。明るさに応じて2〜6枚のシャッターを切り、その複数の写真をカメラ内部で瞬時に合成し、ブレのない1枚の写真として記録できる。画面右下のように、動いてる人物には合成の跡が残るが、建物など静止した夜景を手持ちで撮れるメリットは大きい
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