“ソニー対キヤノン”再び。AVCHDカメラの最新2機種を比較する(前編):ビデオカメラレビュー「HDR-CX7」vs.「iVIS HR10」(3/3 ページ)
AVCHD規格を採用したビデオカメラのバリエーションが豊富になってきた。今回は、様々なAVCHD機をラインアップするソニーハンディカムから「HDR-CX7」を、対抗機としてキヤノン初のAVCHDカメラとなった「iVIS HR10」の2台を、あらゆる角度から比較してみたい。
起動時間は意外にも差がないものの、やはり、操作は全体に「HDR-CX7」が快適
かたやメモリカード、かたやDVDとなると、使い勝手にも大きな差が生じそうだが、はたして実際のところはどうだろう。まず起動時間に関しては、予想に反してあまり違わない。「HR10」が起動から動画撮影開始まで11〜12秒程度かかるのはほぼ見込みどおりとしても、「HDR-CX7」でも9〜10秒程度の待ち時間が生じるのは少し意外だった。
静止画モードと動画モードの切替に関しては、「HR10」は1〜2秒の間が空くものの、いずれも即座にスイッチ可能というレベルといっていい。ただ、大きく異なるのは電源を落とした際の処理で、「HR10」ではディスク記録を行ったあとなら10秒以上、それ以外の場合でも数秒ほどかかる。
メディアの違いは動作音にも関係してくるが、「HR10」の撮影中でも本体に耳を近づけないと気づかない程度。ただし、起動時や、再生モードでのファイルブラウズにともなうシーク音は少し耳障りではある。
体感的に最も差を感じるのは、撮影した動画の再生操作かもしれない。「HDR-CX7」はファイル一覧のサムネイル表示も非常に素早く、再生中のファイルスキップは約1秒。早送り/早戻し(5倍速/10倍速/30倍速/60倍速)中の表示も、滑らかとはいえないものの、シーンの流れが十分に把握可能な程度で描画され、操作に対する反応もよい。一方、「HR10」はファイル一覧ではサムネイル表示に数秒を要し(初回のみ)、ファイルスキップも3秒程度、早送り/早戻し(5倍速/15倍速)の描画や反応に関しても、やや鈍い。
以上のように、操作の快適さに関しては、メディアにDVDを採用した「HR10」がやや劣勢な点は否めないものの、撮影時の機能や画質について見ていくと、その立場は逆転する。
最高12Mbpsだが、ハイプロファイルの採用で高い圧縮品質を確保した「iVIS HR10」
前述のとおり、「HDR-CX7」はメモリースティックPROデュオを採用している。ただし、「HDR-CX7」には記録メディアが標準付属せず、別途購入が必要だ。最近は8Gバイトが2万円、4Gバイトが1万円程度で買えるので、できれば8Gバイトタイプを選択したほうがいいだろう。動画画質はXP(15Mbps)、HQ(9Mbps)、SP(7Mbps)、LP(5Mbps)の4モードが用意されており、8GバイトのメモリースティックPROデュオであれば、XPでも1時間の記録が可能だ。
また、「HDR-CX7」では転送速度が高速な“メモリースティックPRO-HGデュオ”も使用可能だが、メモリースティックPROデュオでも最低書き込み速度15Mbpsを確保しているため、使用上特に問題はない。ちなみに、PRO-HGデュオは現状では最大でも4Gバイト容量で、価格は同じ容量のPROデュオの倍程度となっている(発売は8月下旬)。
一方の「HR10」は、動画撮影には8センチDVD-R/-RW/-R DL、静止画撮影にはminiSDカードを使用する(DVDへの静止画撮影には非対応)。動画記録モードはXP+(12Mbps)、XP(9Mbps)、SP(7Mbps)、LP(5Mbps)で、最高品質時のビットレートがやや低い点以外は「HDR-CX7」とほぼ同じだ。8センチDVDの容量は通常の片面タイプで1.4Gバイト、両面タイプで2.8Gバイト、片面2層タイプで2.6Gバイトなので、XP+で撮影を行った場合は、それぞれ15分、30分、27分の記録が可能となる。
最高で12Mbpsというのは、「HDR-CX7」に対して不利なようにも思われるかもしれないが、ハイプロファイル採用もあってか、実際に見比べた場合に画質で「HR10」が劣っているとは感じない。むしろ、冒頭で述べた“期待”どおりの解像感を見せてくれるほどだ。また、「HDR-CX7」では、特にSPモード以下において、動いている被写体に引きづられるようなかたちで、周囲の映像が若干荒れてしまう現象が目立って見えてしまうケースも多々あった。
後編では、編集機能などの比較とともに、さらに多くのサンプル映像を掲載する予定だ。
動画撮影サンプル
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