東芝の“勝負機”「RD-A600」を検証する(前編)(3/3 ページ)
東芝からHD DVDドライブを搭載したハイビジョンレコーダー「RD-A600」が登場した。孤高のハイエンドモデル「RD-A1」と異なり、幅広いユーザー層に向けた「VARDIA」ブランドの次世代DVDドライブ搭載機だ。今回は前後編にわけて詳しく検証していこう。
次に、HD DVDプレーヤーとしての機能をチェックしてみよう。冒頭でも触れたが、HDMIで1080p出力に対応した点はトレンドでもあるが、HD DVDプレーヤーとしての利用を意識したものだろう。視聴に利用したHD DVDビデオは「ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT」。HD DVDの得意とするインタラクティブ機能も利用したタイトルだ。1080p収録でコーデックは「VC-1」になっている。また、DVDビデオは「ローレライ」を試聴した。
メディアを挿入してHD DVDメディアを認識するまでが約20秒、再生開始までが30秒程度だ。DVDビデオ(市販)は15秒程度で再生が開始されるので少々待たされる感はある。ちなみに本機でダビングしたHD DVD-Rメディアの場合、認識まで(読込中のアイコンが消えるまで)50秒程要したが、その後再生ボタンを押せば即座に再生が開始される。こちらは認識時に管理情報まで読み込んでいる都合なのだろう。
HD DVDビデオの再生を開始すると、デジタル放送とも次元の異なる映像が映し出される。機材の関係でHDMによる1080p接続での視聴は行っていないが、今回の視聴環境ではD端子接続とHDMI接続では後者の方がエッジ周りのノイズが少なく、それでいて暗いシーンなどに情報として含まれているノイズ感がはっきりと感じられた。この差はアナログ伝送とデジタル伝送の違いから来ている可能性が高いが、DVDビデオのD2出力(D3/D4では出力できない)とHDMIでのD3/D4出力を比較すると、後者の方が確実にシャープでアップスケールに伴うジャギーも目立たない。液晶テレビの場合、D1/D2入力でも最終的にはテレビ側でI/P変換やアップスケールを行うことになるのだが、明らかにHDMI接続して本機側でアップスケールした方が画質は良かった。
今回視聴に用いたHD DVDビデオはインタラクティブ機能も備えているため、こちらも楽しんでみた。シーンに連動した収録シーンや俳優へのインタビューが同時に見られる「Picture in Picture」、シーンのイメージスケッチなどが見られる「ストーリボード」、街中の走行位置が地図で把握できる「GPS」、関連した写真が見られる「プロダクション・フォトギャラリー」の4コンテンツが収録されており、「U-CONTROL」機能をメニューから有効にすると、コンテンツが利用可能なシーンではアイコンが表示され、上下キーでアイコンを選ぶとコンテンツが表示される。一通り本編を楽しんだ後には結構面白い。


インタラクティブ機能は「U-CONTROL」と表記されていた(左)。「Picture in Picture」と「プロダクション・フォトギャラリー」を同時表示したところ(中)。コンテンツ自体は著作権の都合上、お見せできないが、右下に「Picture in Picture」が、右上に「プロダクション・フォトギャラリー」が本編と同時に表示されている。右下の表示されるアイコンを上下キーで選んで決定キーを押すだけでコンテンツの表示をON/OFFできる。「GPS」と「Picture in Picture」、「ストーリボード」と「Picture in Picture」といった組み合わせの同時表示も可能だ(右)今回は、主にRD-A600のHD DVDと関連する機能に関して検証を行った。HD DVD関連の機能だけ見ればBlu-rayに対してのメディアとしての容量不足は気になるものの、データ放送をカットして容量不足を補う工夫を組み込んだ点は素直に評価したい。それでも、もう少しHD DVD-RにTSで詰め込めれば……とは思うのだが、これを言い始めるとキリがないだろう。
ただ、現状において残念なのはBD-Rに対して容量の少ないHD DVD-Rの価格的優位点がないこと。大手量販店などではBD-Rの方が安いくらいだ。この点に関しては本機と姉妹機の「RD-A300」の販売量が増えれば変化する可能性はあるが、東芝からも何らかの働きかけができないか? とは正直思う。現状においてはHD DVDのBDに対する2つのメリットとされる「フォーマット互換性の高さ」「安価なメディアコスト」の内、片方しか生きていないからだ。
次回はレコーダーとしての魅力に触れていく予定だ。
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