ボケる? ボケない? 分かりやすい「ボケ」を楽しむ:脱フルオートの道 第5回(2/2 ページ)
ボケといってもお笑いの話ではなく、わざと被写体以外にピントをあわせないことで被写体を強調する写真のボケの話。ツッコミはナシの方向でひとつ。
コンパクトデジカメであれば、絞り値が最も小さくなる開放絞りにする。焦点距離はできるだけ長いカメラがよく、そのテレ端を使う。テレ端だとあまり被写体まで近づくことはできないが、それでもギリギリまで近づくといい。全身を写すのではなく、顔の周辺だけ切り取る、というやり方でもいいだろう。
そうすると、背景がぼやーっとして、恋人だけが浮かび上がるような「プロっぽい写真」が撮れる。特に夜景をバックにして撮ると、光源が丸くぼやけて写り、幻想的な美しい写真が撮影できる。
絞りが操作できないデジカメだったら、モードダイヤルのシーンモードから「ポートレート」や「人物」といったモードを選び、テレ端で被写体に近づくといいだろう。
ボケにくい、どうする?
とはいえ、ボケとピンぼけは紙一重なので、ピンぼけしないことにプライオリティーが置かれるコンパクトデジカメでは一般的にボケを作り出すことは難しい。さらに光学3倍ズーム程度のレンズでは、テレ端でもなかなか大きくボケてくれない。そういうときは、できる限り被写体に近づくといい。テレ端よりもワイド端の方がカメラは被写体に近づけるので、グッと近寄ればそれなりにきちんとぼける。
この手法はあまりポートレートでは使えないが、花を撮る場合などでは、花に思い切り近づいて撮ると、その花以外はぼけてより美しく見える。
また、逆にボケさせてばかりでも写真としては問題がある。たとえば観光地で記念写真を撮る場合、人のバックに美しい景色や名所などがあったら、それも一緒に写しておきたい。名所の端から端まで収めたい場合も、全体にピントが合っていてボケていない方が、どんなところだったか分かりやすい。
そういう場合は、絞りを絞るなどして、極力ボケないようにした方がいいだろう。その方が、どんな場所で撮影したのか、どんな景色だったのか分かって、後で見返すときも楽しい。そんな中、背景をぼかした写真も混ぜておけば、まるで旅行記のような多彩できれいな写真が撮れるに違いない。
コンパクトデジカメの焦点距離はフィルムカメラと違う?
余談だが、焦点距離は通常、35ミリフィルムを使う普通の銀塩カメラを基準に表現する。コンパクトデジカメの撮像素子は35ミリフィルムよりも大きさが小さく、レンズ中心から撮像素子までの距離(焦点距離)が短くてもフィルムカメラと同じように撮影できる。
ただ、35ミリのフィルムカメラと同じ尺度でないと比較が難しいため、「35ミリフィルムカメラ換算」といった表現で、コンパクトデジカメと35ミリフィルムカメラが比較できるように配慮されているので注意しておこう。
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