ブレさせん! ブレなどさせん! 写真の天敵「ブレ」を追放する:脱フルオートの道 第6回(2/2 ページ)
写真の大敵「ブレ」。ブレなどさせぬわ!とワキを締めて撮影するのは基本だが、ブレの起こる仕組みを理解してスマートにブレを回避すべし。
手ブレ補正で足りないときは高感度撮影をチョイス
手ブレ補正機能は、手ブレをなくすためには非常に有効。ただ、手ブレ補正機能があっても、シャッタースピードが遅いと被写体が動いたときに発生する被写体ブレには対応できない。急に走り出すといった動きばかりではなく、うなずいただけとか笑い出しただけといった小さな動きでも、被写体ブレが発生すると写真としては失敗と感じられるようになってしまう。
被写体ブレについては手ブレ補正の「1/焦点距離」秒といった分かりやすい指標は特にないので、被写体が動くスピードにあわせて、その都度シャッタースピードを変えていくしかない。一瞬のチャンスを狙う場合は、極力シャッタースピードを速くするしかないだろう。ところが、シャッタースピードを速くしすぎると写真は暗くなり、露出アンダーになってしまう。
最近のデジカメでは、これを解消するための技術として高感度撮影(=高ISO感度撮影)機能が投入されている。これは、少ない光をより多く取り込むことによって、暗いシーンでもより明るい写真を撮るための機能だ。逆にいえば、シャッタースピードを速くして露出がアンダーになってしまっても、ISO感度を高くすれば写真を明るくすることができる、というわけだ。
この高感度撮影機能ではシャッタースピードを速くすることができるので、被写体ブレだけでなく手ブレも解消できるというメリットがあるので、うまく使えば非常に便利だ。
ところが高感度撮影機能にも問題点があり、ISO感度を高くするとデジタルカメラの原理的に画質は悪くなってしまう。そのため、むやみにISO感度を高くすると、画質が悪化してしまって写真(画質)に満足できない、という結果にもなりかねない。
現在はメーカーの努力で高感度時の画質向上が著しいが、それでも低感度時の画質にはかなわないので、このあたりはシャッタースピードと相談しながらその時々で適切なISO感度を設定したい。最近は被写体の動きを検知して自動でISO感度の高低をコントロールするなど、より適切な感度を自動で設定してくれるようなカメラもあるので、こうした機能もうまく活用したい。
手ブレ補正でカバーできるときは低感度+手ブレ補正で高画質に、手ブレ補正だけでは被写体ブレが発生する場合は、必要最小限に感度を上げていくといい。どのぐらいの感度で撮影すればいいかは、使っているカメラや状況に応じて変わってくるので、これは何枚も試してみて、感覚でつかめるようになって欲しい。慣れない内は、ISO感度をオート設定にするか、カメラによってはなるべく感度を高く設定する高感度オートといった設定があるので、これを使ってみてもいいだろう。
ちなみに、シャッタースピードをわざと遅くし、被写体をブレさせて動きを表現する写真技法もあるので、このあたりも写真を多く撮ってどれぐらいのシャッタースピードではブレないか、適度にぶれるのかを把握できるようになれば、さらに写真に奥行きが増すだろう。
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