リビングのコアになる多機能液晶テレビ“REGZA”「Z3500」(6/6 ページ)
“REGZA”の「Z3500」シリーズは、現時点で「ほぼ何でも入り」といえる多機能な液晶テレビだ。フルHDパネルに倍速駆動というトレンドをおさえつつ、外付けHDDを追加するだけで多彩な録画機能が実現する。今回は42V型を試用した。
ネットワーク機能としてブラウザも備える。筆者はテレビが備えるブラウジング機能に関しては、1〜2年で機能的に陳腐化する(新機能の追加ができないという意味)と思っているため大きな期待は持っていない。それでもまっとうに評価すれば、現時点で本機の備えるブラウザは結構使える。採用しているブラウザは「Netfront for HDTV」で、CSSをサポートし、タブブラウズやクッキーにも対応。携帯電話やPDA向けブラウザのようにレイアウトと見やすく変更する機能も備える。解像度だけみれば本来はレイアウト変更機能などは不要だが、2〜3メートルも離れてリモコン操作となれば文字サイズをある程度確保する必要があるのでやはり重要な機能だろう。ちなみにITmediaもほぼ不満を感じない形で表示できた。
レンダリングはPCのそれと比較すると決して速くはないが、「Yahoo!」のような情報ポータルサイトにアクセスしたり、検索サイトを使ってちょっとした調べ物をするには十分使える。文字入力はリモコンを使っての携帯電話方式が基本だが、USBキーボードをサポートしており、「F4」で入力モードが切り替わることさえ覚えておけば文字入力も快適だ。
テレビ向けのネットサービス(実態はWebサービスだが)である「アクトビラ」は、単独機能としてメニューに準備されている。旧「Tナビ」をベースに有料のビデオレンタル、いわゆるネットワーク配信ビデオも提供されているが、無料で利用できる情報サービスはなかなか便利だ。「アクトビラ」自体はブラウザ機能を持つ多くのテレビでサポートされているので本機の特徴でもなんでもないのだが、リモコンでの操作が容易だし、筆者の手元で「アクトビラ」が利用出来る約2年前の機種と比較すると動作が速くて快適。これなら使う気になると感じた。REGZAの中でどれを買う、という時に家族を説得するためのいい材料になるかもしれない。またビデオ配信サービスである「4thメディア」にも対応している。
従来モデルの欠点をほぼカバーした魅力の多機能テレビ
ライバルメーカーの製品に対して従来製品では欠落していた機能であるHDMI接続を利用した連携機能も本機では「REGZAリンク」として遅まきながら対応。後発ゆえに互換性も重視しており、ヤマハやオンキョー製のAVアンプなどとの連携も可能とし、映画を楽しむ際には重要となるリップシンクにも対応している。また面白い試みとしては同社のノートPCとの連携も実現しており、リモコン操作でノートPC内の映像、静止画の再生に加え、HD DVDの再生まで行える。もちろんレコーダーとの連携も可能となっており、年末商戦に向けてテレビとレコーダーをセットで売ると言うパナソニックやシャープと同じ土俵に乗った点は、同社としても意味は大きいはずだ。
テレビとしては超多機能な部類に入り、ゆえに今回のレビューでも全ての機能を確認できた訳ではない。今回試用した範囲で強く感じたことはレコーダーとしての機能と使い勝手が非常にしっかり、かつスマートにまとめ上げられていた点で、光学メディアへの保存にこだわらなければレコーダーは不要ともいえてしまう。テレビに録画機能があっても高価な専用HDDが必要になるとコストメリットがなくなってしまうのだが、この点でも本機は無駄に欲張っていない。筆者のように、光学メディアに残すのは自由度の高いアナログ放送のみで、デジタル放送は様子見といった人にもデジタル放送のタイムシフト用に悪くない。筆者とてどうせ見るなら高画質、という欲がない訳ではないのだ。
使い勝手と言う点でも自由度の高い番組表は魅力的だ。それなりに東芝らしい癖はあるが、使い方のコツを覚えるのはそれほど難しくないはず。結局のところ、機能面は作り手がどこで妥協するのかということになると思うが、本機はカスタマイズ性を残しつつ初期設定で程よい設定に纏め上げていると思う。パナソニック製品ほど万人向けに懇切丁寧に作っているわけではないが、初期設定作業さえ済んでしまえば機械に不慣れな家族が苦労することもないだろう。
画質は良くも悪くも東芝流だが着々と破綻は少なくなっている。本機がハイエンドモデルと言う事もあると思うが、白が鮮やかさが基調の画質は日常のテレビ視聴にも向いているし、照明を落とした部屋で映画を楽しむ方が多いと言う人はそれなりに画質を追い込めるはず。突き詰めると好みの世界に入ってしまうので、やはりプリセットが日常利用に向いているのは正解だろう。倍速駆動も常時効果を感じる機能ではないが、見慣れてしまうと倍速駆動でない製品を見たときにきっと違和感を感じると思う。
本機は単体で見れば安価な部類に入る製品ではない。しかし、高度なネットワーク機能を活用することで、とにかくスマートに映像に楽しめる点は魅力だ。フルハイビジョンの薄型テレビの導入と同時に録画環境も一気にハイビジョンに移行したいという人は、冬のボーナスに向けて要チェックの製品といえる。
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