まるで映画館――オンキョー「TX-SA805」:HDMI 1.3a対応AVアンプレビュー特集(2/3 ページ)
「世界初のHDMI 1.3a対応AVアンプ」としてHDオーディオの世界を切り開いたのが、オンキヨー「TX-SA805」。映画好きには是非とも検討して欲しい1台だ。
高音質のサウンドフォーマットで本領発揮
「そこらの映画館より断然いい音」。たまたま遊びに来た友人(映画好きだがホームシアターはまったく手を出していない)が発したひとことが、すべてを表してくれた。キメの細やかさ、密度感、エネルギッシュさ。どれを取り上げても一級品だ。
特に映画ではHDオーディオの持つ高いスペックを包み隠さず再現しており、まるで登場人物が目の前にいるかのよう。「300」のリニアPCMでは、ティンパニーがスクリーン裏で叩かれているような錯覚まで感じた。効果音のあまりのリアルさに、現実の音と間違えて思わず振り返ってしまったこともしばしば。音はバーチャルを現実のように感じさせてくれる重要な存在であることを、改めて思い出させてくれた。
どうしてここまで素晴らしい音に感じられるのだろう、と冷静に分析すると、キモとなっているのは中域のよう。どこまでもクリアな音色と生々しい肉感を醸し出す厚身の豊かな音。両者の相乗効果によって、TX-SA805のリアルなサウンドは生まれ出ているようだった。
フォーマットに関していえば、DTS-HDマスターオーディオやリニアPCMなど、高音質のサウンドでこそ本領を発揮する。「ダイハード4.0」のDTS-HDマスターオーディオサウンドでは「ああ、自宅でこんな音を堪能できるとは、なんて幸せなのだろう」とHDオーディオの素晴らしさをしみじみと実感した次第。そこまでの幸せをかみしめられる、優秀機と断言しよう。
もうひとつ素晴らしいのは、同軸デジタルの音がHDMIのさらに上を行くクオリティーを持ち合わせていることだ。Diana Krallの演奏はまるでライブハウスの最前席で聴いているかのような奥行き感のある空間表現だったし、小曽根真のピアノは微妙なニュアンスまで的確に再現してくれるので、曲に込めた彼の想いが細やかに伝わってくる。PHONO端子やダイレクトモードも用意されているので、ピュアオーディオ用アンプとしても大いに活躍してくれそうだ。
唯一の欠点は「Audyssey MultEQ XT」のチューニング傾向。無理にでもフラットな音場を作り上げようとするので、中域のエネルギッシュさが後退して魅力が半減。できることならEQはオフで使えるよう、まず先に部屋の環境をある程度は整えたいところだ。
お勧めしたいユーザー
映画ファンには絶対にお勧めしたい製品。TX-SA805でHDオーディオを聴けば、新時代メディアがもたらしてくれる幸せを思う存分感じ取れるはず。コストパフォーマンスを重視したい人にも、この製品は魅力的に映ることだろう。この価格帯でこれだけの感動を得られるAVアンプはそうそうない。どう考えてみてもお買い得としか思えない。また同軸デジタルの音も素晴らしく、CDなどを聴くピュアオーディオシステムとしての活用もできるため、スペース/コストの両面から効率的なシステムを構築したい人にもお勧めしよう。
最後に機能面では、パナソニックのビエラリンクに対応していることも要注目。薄型テレビ「VIERA」やHDDレコーダー「DIGA」を持っている人であれば、そちらのリモコン操作で電源や音声切換、ボリューム調整が連動して行える。そういった利便性を含め、検討して欲しい。
注目ハードウェアチェック | -- |
---|---|
HDMI入力 | 3 |
HDMI出力 | 1 |
アナログ音声入力 | 11 |
PHONO端子 | ○ |
iPod端子 | × |
別売iPodドック | ○ |
USB端子 | × |
iLINK端子 | × |
LAN端子 | × |
自動音場調整機能 | ○(モノラル) |
パワーアンプ | 定格180ワット×7 |
サイズ | 435(幅)×194(高さ)×458.5(奥行き)ミリ |
重量 | 23キロ |
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