キーマンが語る「ソニー」の米国市場:2008 International CES:本田雅一のリアルタイム・アナリシス (2/2 ページ)
強い商品力を持つソニーAV製品は、昨年の米国景気後退をもはねのけたようだ。米国ソニーのキーマンが、現状と今後の市場動向について語ってくれた。
好調なBDプレーヤー、フォーマット戦争勝利宣言には“慎重”
一方、Blu-ray Disc(BD)プレーヤーに関しても好調で、12月に出荷した製品はクリスマスの週末には既に売り切れていた。PS3を含めたBDビデオ再生可能な機器は400万台を達成したことになると栗田氏は言う。(なお、別のデータではトータル350万台というデータもあり、細かい数字は異なるかもしれない)
ホリデーシーズン全体を通し、BDプレーヤーは(PS3を除いても)HD DVDプレーヤーの2倍の数を販売。そのうちの多くはソニー製だった。
ただし、急峻なカーブで売れ始めた理由のひとつには、価格が299ドルにまで下がったことも大きく影響している。この点について栗田氏は「米国においてHDTVの世帯普及が40%を超え、HDが当たり前になってきた。画質が良いことの素晴らしさを体験すると、購入するタイトルもHDがいいと思うようになる。この流れに乗って、BDプレーヤーが売れた」と話す。ただし、フォーマット戦争は終結したか? との問いには「追い風だとは思うが、確実な話は言えない」と明言を避けた。
こうした慎重な発言はソニーだけに限ったものではなく、BDの普及を推進している各企業は「これでフォーマット戦争に勝った」という激しい発言ではなく、今後はSDビデオしか知らないユーザー層に対して、HDビデオパッケージの良さを広めていきたいといった方向の発言が多い。
栗田氏も「我々は粛々とハードウェアを販売して行くのみ。フォーマット戦争に関してはハードウェアというよりも、ソフトウェア販売において市場が決めること」と慎重な見方を示した。
とはいえ、BDソフトウェアの売上累計は400万本から500万本までの100万本を1カ月以内で達成しており、今後はその流れがさらに強まっていくことが推測される。コンスタントに数100万本以上が売れる市場になれば、映画スタジオもBDソフトを本気で拡販を行わないわけにはいかない。加えて流通側のBDソフトに対する扱いも変化するはずだ。
噂のα最上位機種は……?
また、デジタル一眼レフカメラ事業に関して、カメラ専門店開拓という、米ソニーが経験してこなかった挑戦に昨年は苦労していた。この点について尋ねたところ、「1機種では専門店に食い込むには限界があったが、その後、α700を投入し、さらに今回のCESでα200を投入。これにより、専門店に入っていく道筋も見えてきている。さらに大きな飛躍を見据え、4月までにはよりよいラインアップを作れる」と話した。
北米では直近、2月にPMAというカメラショーが予定されている。ここで最上位機種が発表されると言われており、ソニーのラインアップが一通り完成。4月という目処を考えれば、それまでには(噂の最上位機種も)市場に投入されることになるだろう。
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