レンズ性能を引き出す新開発14.6メガCMOS搭載――ハイアマ待望デジ一眼「K20D」
ペンタックスが、デジタル一眼レフカメラ「K20D」を発表。受光面積を犠牲にせずにさらなる高画素を実現した新型CMOSセンサーを搭載。新たなゴミ対策機能も備える。
ペンタックスは1月24日、中級クラス向けデジタル一眼レフカメラ新製品「K20D」を発表した。3月上旬から販売を開始する。価格はオープンで、市場想定価格はボディ単体で15万円前後。smc PENTAX-DA18-55mm F3.5-5.6AL IIをセットにしたレンズキットが16万円前後。
2006年10月に発売された「K10D」の後継機。「画質にこだわるK10Dの路線を引き継ぎ、さらなる高画質の追求を行っている」(同社)。
“高画質”の進化
新製品の特徴の1つは、サムスン電子/サムスンテックウィンと共同開発した有効1460万画素・23.4×15.6ミリの新型CMOSセンサーだ。受光部(フォトダイオード)の周辺回路面積を減らすことで敷き詰められる画素数が増加し、1460万画素にまで高画素化しながらも従来の1200万画素クラスと同等の受光面積を実現した。また回路の厚みも削減し、1画素ごとに配置されているマイクロレンズ間の隙間をなくすことで、斜めからの光を従来より多く取り込むことができる。「斜めの光に強くなることで、デジタル専用レンズはもちろん、フィルム時代のレンズの性能も引き出すことができる」(同社)。
高感度撮影時のノイズも減少した。センサー内部に感度をアップする機構を取り入れることで、回路の途中で発生する信号ノイズ(ラインノイズ)を増幅することなく、感度アップを行える。最大でISO6400での撮影が可能。画像処理エンジンには「PRIME」(PENTAX Real Image Engine)を搭載し、DDR2メモリによる高速なデータ転送を実現する。
最大4段分の補正効果を発揮するボディ内手ブレ補正機構「SR」(Shake Reduction)は、スペック上はK10Dと変わらないものの、CMOSセンサー軽量化や、基板の取り回し改善による動きのロスの軽減、アルゴリズムの最適化などにより、効果の安定性を向上させている。
ハイライトのダイナミックレンジを1EV(200%)拡大する機能を新たに搭載し、空などの白飛びしやすい被写体を階調豊かに再現できるという。「撮影感度はISO200からとなるが、感度アップ時の低ノイズ化も図っているので、積極的に使って欲しい」(同社)。
さらに、新機能としてレンズに合わせたAFの微調整機能を搭載した。Fシリーズ以降の交換レンズに対応し、レンズの個体差により発生するAFの微妙なズレを修正することができる。最大20本分のカスタマイズしたAFデータをボディに設定可能だ。
そのほか、画像仕上げを選択できる「カスタムイメージ」機能には、6種類の仕上がりモードを用意。色相や彩度、コントラスト、シャープネスといった情報のレーダーチャートが表示されるほか、それぞれの値を調整して、より自分好みの設定にすることもできる。
操作性、安全性の向上
ライブビュー機能を新たに搭載し、液晶モニターに表示される画像を見ながら撮影ができる。拡大表示機能やAFフレーム/グリッド表示機能も採用した。またライブビュー時には手ブレ補正機構の効果を確認しながら撮影できる。
進化した撮像素子のゴミ対策機構「DR」(Dust Removal)は、フッ素コーティングや振動によるゴミの予防・除去に加え、“ゴミ検出機能”「ダストアラート」を新たに搭載。液晶モニターにCMOSセンサーのゴミ付着状況を再現して表示し、センサーのどの部分にゴミが付着しているかを視覚的に確認できる。クリーニングの際に便利なほか、「大切な撮影の前にゴミがあるかを確認できるため、安心して撮影に望める」という。
そのほかにもXシンクロ接点の装備や、画素の欠落を補うピクセルマッピング機能の搭載など、ユーザビリティを向上させる新機能を搭載する。ボディには剛性の高いステンレスシャシーを採用し、各所にシーリングを行うことで防塵防滴構造を備えた。
ディスプレイは2.7インチ・約23万画素の液晶を採用し、上下左右約160度の視野角を実現。明るさの調整に加え色調整にも対応し、自宅のPCやTVモニターの色合いにカメラの液晶の色合いを合わせるといったことができる。
記録メディアはSD/SDHCメモリーカードに対応する。電源はリチウムイオン充電池で、撮影可能枚数は約740枚(ストロボ発光なし)。ボディサイズは約141.5(幅)×101(高さ)×70(奥行き)ミリで、重さは約800グラム(バッテリー、カード含む)。
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