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薄型テレビの音質アップグレードを考える(3)本田雅一のTV Style

設置の楽なコンパクトかつ音の良いスピーカーを用い、スタイリッシュな2チャンネルオーディオをテレビと組み合わせるというのが、3つ目の提案。実は今回紹介するシステムが、個人的にはもっともお勧めである。

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 「薄型テレビの音質アップグレードを考える」の3回目。設置の楽なコンパクトかつ音の良いスピーカーを用い、スタイリッシュな2チャンネルオーディオをテレビと組み合わせるというのが、3つ目の提案である。やや予算的には高くなる可能性もあるが、実は今回紹介するシステムが、個人的にはもっともお勧めだ。筆者自身は本格的なAVシステムを組んでいるが、もしもう一組、自宅に薄型テレビと何らかのオーディオシステムを組み合わせるとしたら、サラウンドに拘らず音の良いシステムにしようと考えるだろう。

 では、どういった手順で製品を選べばいいのだろうか?

 これはテレビと組み合わせる場合に限った話ではないが、最初に選ぶのは気に入ったスピーカーを探すところから始めるのがいい。といっても、世の中にはたくさんのスピーカーが存在する。どこから手を付けて良いのか、わからないという人も多いと思う。

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ALR/Jordanの「Entry Si」は2Way2スピーカーのバスレフ型。外形寸法は130(幅)×215(高さ)×190(奥行き)ミリ。価格は5万8000円

 そんな読者に一番に勧めたいのが、ALR/Jordanの「Entry Si」だ。筆者自身、この製品の前身である「Entry S」を書斎で使っている。幅13センチ、奥行き19センチしかない11.5センチという小型ウーファーを搭載したこの機種は、しかしサイズには似合わない立派な鳴りっぷりと立体感溢れる音場が魅力。

 もちろん、小型スピーカーならではの分解能の高さ、音像のシャープさも大きな魅力だ。サイズの大きなテレビの左右に余裕をもたせつつ配置したとしても、決して音が中抜けしてスカスカと寂しくなることはない。旧モデルを含め人気商品として長く売られているため、予算が限られているなら中古品も探しやすい。

 この製品にスタイリッシュな細身のスタンドを組み合わせてやると、インテリアの面でもマッチするだろう。小型のため最低域はスッパリとなくなるが、設置さえしっかりとしていれば、バスドラムやベースは元気よく鳴る。映画などで物足りなさを感じるなら、後からサブウーファーを追加してもいい。

 よく似たタイプの製品としては、他にモニターオーディオの「Radius 90」という製品もある。こちらは純正スタンドのデザインや色のバリエーションも魅力だろう。

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「Radius 90」はブラック、ピーチ/チェリー、シルバー、ローズマホガニーの4色がある。価格も実売3万円前後と手頃だ
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ボーズの「55WER」。ブラックとシルバーの2色があったが、残念ながらブラックは生産終了となっている。価格は10万2900円

 一方、細長く背が高いトール型スピーカーなら、ボーズの「55WER」がお勧めだ。少し前に兄貴分の「77WER」が追加されたが、音質や低域の伸びは55WERも十分。ボーズのスピーカーは特有のクセっぽさがあるが、このシリーズはバランスがよく、見た目のスタイリッシュさからは想像できないほど、“きちんとした”音が出てくる。

 音楽再生を楽しむ時間が長いならEntry Si、音楽も聴くがメインはAVというのであれば、55WERが良いと思うが、量販店のオーディオ製品売り場に行くとたくさんの小型スピーカーが並んでいる。まずは聴き慣れたCDを手に、比較試聴に行くことを勧めたい。

 さて、お気に入りのスピーカーが見つかったら、あとはそのスピーカーをしっかり鳴らせるプリメインアンプを探すだけだ。スピーカーが音色の基本骨格を決めるアイテムとしたら、アンプは音の質感表現を決めるアイテムだ。スピーカーの持つ能力を、どこまで引き出せるかで、それは決まってくる。

photophoto オンキヨーの「A-933」は8万4000円とリーズナブル(左)。ラックスマンの「SQ-N100」は、出力管にEL84をプッシュプル構成で使う真空管プリメインアンプだ。価格は18万9000円(右)

 コンパクトかつ美麗なデザインが与えられ、リモコンが利用できる製品ということで、ここではオンキヨーの「A-933」、ラックスマンの「SQ-N100」をお勧めしたい。前者はやや表情がフラットでクールな音、後者はキレのある爽やかな音の中にもぬくもりを感じさせる音。いずれも小型スピーカーに対する駆動力は十分なので、予算と好みに応じて選ぶといい。これら2製品以外にも、昨今は本格的なオーディオ機器として開発された小型アンプがいくつも発売されてきている。

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。「Aura note」はチューナー内蔵のCD/アンプ一体型レシーバー。流麗なデザインも大きな魅力だ。価格は28万3500円

 最後に予算はかなり高くなってしまうものの、是非紹介しておきたいのがユキムの販売する「Aura note」。CDプレーヤー、チューナー、USBオーディオも内蔵するCDレシーバという形態だが、その流麗なデザインは仕上げを含め、実にすばらしい。

 小型スピーカーとの組み合わせならば十分な駆動力がある上、繊細で耳当たりの良い上品な音を奏でてくれる。USBオーディオ入力があるため、PCのデスクサイドで楽しむというのもいいだろう。

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