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レノン銃撃犯の心の闇――「チャプター27」本山由樹子の新作劇場

全世界が衝撃を受けたジョン・レノン暗殺事件。犯人のマーク・チャップマンはその場で逮捕され、現在も釈放されていないが、今年中にも仮釈放される予定があるという。彼が凶行に至るまでの3日間を追う。

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チャプター27(Blu-ray Disc)

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 1980年12月8日にジョン・レノンを射殺した犯人、マーク・デイヴィッド・チャップマンを主人公に据えたサスペンス・ドラマ「チャプター27」が、5月23日にBlu-ray Discで登場。特典は監督・出演者インタビューを収めた「1980年12月8日、世界が変わった日」と予告編集。

 12月6日、ニューヨークにやって来たチャップマン(ジャレッド・レト)は空港に降り立つと、ジョン・レノンが住むダコタ・ハウスへ直行する。目的はレノンを殺害すること。レノンのファンでもあるチャップマンは、同じくレノンの出待ちをしてした女性ジュード(リンジー・ローハン)とパパラッチのポール(ジェダ・フリードランダー)と知り合うが、レノンは姿を見せない。ニューヨーク滞在3日目、今日こそはと決意を固めたはずのチャップマンだったが、次第に暗殺することへの迷いが生じ始める……。

 チャップマンに200時間ものインタビューを行った、ジャック・ジョーンズ著「ジョン・レノンを殺した男」をもとに、彼が犯行に至るまでの3日間をドライに描いている。チャップマンは、レノンの裕福な生活を裏切りと考え、理不尽な憎しみを感じていた。ジュードやポールに、執拗なまでに身勝手な主張をする彼の混乱した精神、闇の部分に迫っているが、犯行の動機や人物像は明かされていない。

 レノン・ファンにとっては名前を聞いただけでも不快であろう、このチャップマンという男は、サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し、その主人公ホールデンに自分を重ね合わせていたというのは有名な話。「ライ麦畑でつかまえて」が全26章で構成され、その次の章を彼が書き加えるような思いで事件を起こした、ということで、「チャプター27」のタイトルが付けられている。

 監督は、映画雑誌の編集者で、事件当時は1歳だったJ・P・シェファー。ビートルズ・ソングやレノンへの感傷といった類は一切なく、チャップマンの3日間の行動のみを大胆な発想と想像を入り交えて描いているから、おそらく熱烈なレノン・ファンにとっては、冷静に見ることができないであろう。

 製作総指揮も兼ねた主演のジャレッド・レト(「ロンリーハート」「ロード・オブ・ウォー」)は体重を30キロも増量し、顔に特殊メイクを施して、チャップマンになりきっている。その驚くべき怪演は一度見たら忘れられないほど強烈だ。

関連サイト:http://chapter27.jp/(公式サイト)

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