東芝、“DVD”ドライブ搭載の「RD-X7」など4機種を発表:「VARDIA」再始動(2/2 ページ)
2月のHD DVD事業終息宣言以来、沈黙を守っていた東芝「VARDIA」が再始動。ネットワーク経由でDVDソフトを購入できる「DVD Burning」をはじめ、高速起動、「ダビング10」対応のプレイリストなど、アグレッシブな新機能を盛り込んで復活した。ただし、次世代DVD戦争の爪痕が残る部分も。
DVDやSD放送の映画も1080p/24フレーム出力
「RD-X7」にはフラグシップモデルらしく、ぜいたくな画質回路が採用されている。例えば米シリコンオプティクスのI/Pコンバーター&スケーラー「HQV ReonVX50」。民生用では一部のハイエンドAVセンターやプロジェクターに搭載されている高性能デバイスだが、X7ではこれを利用してDVDからSD放送に至るまで、映画ソースをすべて1080P/24フレーム出力できるようにした。
「従来のアップスケーリングでは、DVDから480iの3:2プルダウンで出力したあと、2:3逆変換やIP変換を経て、さらに1080pにアップスケールしていた。DVDの時代には毎秒24枚を扱う技術がなかったための仕様だが、処理が多いぶん変換誤差が蓄積し、画質は劣化する」(デジタルAV事業部設計部の桑原光孝氏)。とくに2:3逆変換など時間軸の変換を伴う処理で誤差が発生しやすいという。
対してX7では、もともと480pで収録されているコンテンツを直接再生し、1080pのアップスケール処理だけを行う。3:2プルダウンやIP変換を伴わないため画質は劣化せず、記録されたままのフレーム順で再生できる。
ハイビジョン放送のアップスケール処理もシンプルだ。放送波で送られてくる1080i、3:2プルダウンの映像に対して2:3逆変換とIP変換だけを施すという。またSD画質の放送(480i)でもIP変換とアップスケーリングで1080p/24F再生が可能。「REONで間引きされた480iソースから480pへのフレーム変換を行い、さらにIP変換とスケーリング処理を施す。放送波の映画コンテンツでもオリジナルのフレームレートで再生できる」(同氏)。
映像/音声出力も凝っている。HDMI出力はいかにノイズを減らすかが音質を左右するが、同社は電源に目を付け、専用のローカルレギュレータと低インピーダンスケミコンを搭載した。「純度の高い電源を供給すれば、ノイズを抑えられる」という判断だ。
このほかにもハイビジョン4倍オーバーサンプリングが可能な12ビット/297Hzの映像DAC(アナログデバイセズのAD1955)や192kHz/24ビットの音声DACなどでアナログ出力も強化。「RD-X3」以来のステンレスリアパネルとステンレスビスで出力部の磁化を防ぎ、端子部には金メッキを施している。
高速起動と「DVD Burning」
スタンダードモデルの「RD-S502」「RD-S302」に採用されたのが、省電力の高速起動モードと「DVD Burning」。開発時期の都合などで上位モデルのRD-X7には搭載されていない新機能となる。
高速起動モードは、あらかじめ設定をオンにしておくと、地上デジタル放送で約5秒、番組表で約6秒という素早い表示が可能になるというもの(テレビとHDM接続している場合は、認識時間が発生するため若干長めになる)。リモコンの「番組表」ボタンで起動した場合は、高速起動準備中でも予約操作なども行えるという。しかも、高速起動モードに設定していても、待機消費電力は約3.8ワットだ。
一方のDVD Burningは、KDDIが提供するDVDダウンロード販売サービスだ。現在はPCを前提としており、DVDレコーダーとしてはVARDIAが初めて対応することになった。現在のタイトル数は約3000。ハリウッド映画をはじめ、鉄道やお笑い、グラビアといったレンタルビデオショップにはないオリジナルコンテンツも充実している。
VARDIA向けのサービスは6月末に開始する予定で、対応後は「番組ナビ」のトップに「DVDBB」という項目が追加される。ここからジャンル別に整理されたコンテンツ一覧にアクセス。欲しいコンテンツを見つけたら、CPRM対応のDVD-RWもしくはDVD-RAMメディアに直接ダウンロードする仕組みだ(HDDに蓄積することはできない)。もちろん作成したDVDは、ほかのCPRM対応DVDプレーヤー/レコーダーでも再生できる。
なお、DVD Burningを利用するには、事前にPCからユーザー登録を行う必要がある。「レコーダーからの登録も技術的には不可能ではないが、徐々に対応していきたい。その前に携帯電話を使って登録できるようにする」(KDDI)。
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