デメリットはあるか?――FinePix F100fd「ワイドダイナミックレンジ」(後編):あのデジカメ、ココが気になる
デジカメのダイナミックレンジ拡大は白トビ・黒ツブレを抑制してくれる便利な機能だが、デメリットはないのだろうか?
富士フイルムの「FinePix F100fd」はダイナミックレンジを従来比400%にするワイドダイナミックレンジの実装が大きな特徴の1つだ。実際に利用してみると青空や日の当たる明るい部分が白トビしたりするケースを解消してくれる。いいことずくめのように見えるが、デメリットはないのだろうか。また、その進化の方向性について、富士フイルムに聞いてみた。
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――ダイナミックレンジ拡張を行うことのデメリットはありますか?
河原氏: デメリットとまでは言いませんが、注意点として、必ずしもダイナミックレンジを拡大することが良いという訳ではなく、ダイナミックレンジ100%(拡張機能未使用)の方が絵にメリハリが出るケースもあります。400%にすると白トビは少なくなりますが、“眠い”メリハリの少ない画像になりがちです。
ISO感度は高くてもノイズは少ない方がいいですし、画素数も少ないより多い方が解像度的にはいいのですが、ダイナミックレンジに限っては、必ずしも100%よりも400%の方がいいというわけではないというのが難しいところです。
これはSR方式(スーパーCCDハニカム SR)を採用しても同じで、ダイナミックレンジを広げると階調が軟らかくなるのはフィルムも一緒です。そのため、ダイナミックレンジ拡大は「諸刃の剣」という言い方をしています。表現する人がどちらを選択するかということになります。
あと、SR方式ではISO100でもダイナミックレンジ拡大ができましたが、今回は感度を上げなければ拡大もできません。そのためノイズが増えますが、それをノイズリダクションで対処しています。
――今後の課題は何でしょうか
河原氏: ダイナミックレンジが拡大すると白トビしにくくなるので、より明るく撮りたくなるはずです。ギリギリまでハイライトを明るくして、シャドーも明るく撮るという絵作りができるようになりますから。
先ほども述べましたように、必ずしもダイナミックレンジを広げることがいいことではないので、カメラが撮影者の意図を汲み取って、最適なダイナミックレンジを自動で設定することです。今は測光方式とダイナミックレンジが連動していないので、露出制御と連動したダイナミックレンジの拡大を、被写体を判断して自動でそれができることが求められていると思います。
田中氏: 風景ですと、例えば雲は白トビしやすいですが、それを目で見たままに近い形で再現できればと思っています。風景撮影ですと、色が鮮やかでシャキッとしたものが好まれますが、ダイナミックレンジを広げるとメリハリがなくなってしまいます。どこまで広げればいいのか難しいところですね。人物では肌や服が白トビしない、風景では雲が白トビしない。それをうまく(カメラが)判断して調整できればいいと思っています。
実際にお話を伺ってみると、繰り返し「目で見たまま」を求めた結果搭載された機能だと話してくれた。これまでの高感度、顔検出から一貫して続く「目で見たまま」という同社のポリシーによって作り上げられ、FinePix F100fdに搭載されたのがこのワイドダイナミックレンジだったようだ。
最近では、被写体を判別して自動で撮影モードを切り替えるようなお任せ機能が搭載されているが、例えば風景ならばダイナミックレンジ拡大を抑えめに、ポートレートだったらより拡大してさらに明るめの露出制御にするといったお任せ機能が搭載されると面白そう。
蛇足だが、ワイドダイナミックレンジを達成しやすいSR方式のCCDを採用したコンパクトデジカメに関しては、やはり高画素化が難しいのがネックのようだが、富士フイルム社内でも求める声はあるそうで、「高画素じゃなくても機能が優れていれば購入する」というユーザーが増えれば、SR方式のCCDを採用したコンパクトデジカメの再登場はあり得るかもしれない。
いずれにしても、気軽に美しい写真を撮るためのワイドダイナミックレンジが、今後も進化していくことを期待したい。
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