“黒くて円いVAIO”はリビングPCの新境地を開くか?――「VGX-TP1DQ/B」徹底検証(後編):BD記録にも一工夫(3/3 ページ)
新型TP1の目玉といえるのが地デジ録画の解析機能。情報番組で紹介したショップやCMに出演しているタレントを自動的にデータベース化してくれる優れモノだ。
地デジをとことん満喫したい欲張りなユーザーへ
Giga Pocket Digital以外にも、Webブラウザの「VAIOリモコンブラウザー」と統合コンテンツ管理ソフトの「VAIO Media plus」は10フィートUIモードを持っており、どちらもリモコンで操作できる。
VAIOリモコンブラウザーは、キーボードいらずでWebブラウズができることにリビングPCらしい配慮を感じるが、URLや検索キーワードの入力はさすがに面倒で、ポインティングデバイスの操作性もいまひとつだ。今後はリモコンを改善してほしい。
VAIO Media plusは家庭内LANでのコンテンツサーバ機能を備え、メニューにはテレビ番組の項目も用意されているものの、TP1で録画した番組を配信することはできない。ソフト自体はDTCP-IP再生に対応しており、ソニー製のBDレコーダー(BDZ-X90/A70/L70/V9)で録画したデジタル放送の映像を再生することは可能だ。
このほか、映像関連ソフトだけでも、デジタルビデオカメラの映像からショートムービーを自動生成する「VAIO Movie Story」や、BD-Jの作成もこなすオーサリングソフト「Click to Disc/Click to Disc Editor」など、ユニークかつ利便性の高いオリジナルアプリケーションが多数付属しており、テレビ番組に加え、家庭内で蓄積しそうなデジタルコンテンツは、すべて本製品で楽しむといった使い方にも十分に対応できる。こうしたさまざまな機能を1台で実現できるのはPCならではといえるだろう。
今回はテレビ機能に注目して新型TP1を試したが、単なる「地デジを2番組同時録画できるPC」にとどまらず、現時点でテレビ機能付きPC、すなわち「テレパソ」に盛り込めそうなことはすべて実装した、というソニーの意気込みを感じる。テレビ放送のデジタル化とそれにともなう数多くの制限などにより、テレパソはアナログ放送が主流だった時代より退化した面が目立つが、新型TP1はテレパソ復活の契機になれるだけの魅力を持つ。
新型TP1は、サードパーティの番組情報データベースなども積極的に活用しながら、徹底した自動化を図ることで、テレビとの新しい付き合い方を提案している。すなわち、録画したい番組のジャンルやタレント名といったいくつかのキーワードを覚えさせておくだけで、ユーザーは面倒な録画作業や複雑な設定にわずらわされることなく、テレビ番組や番組に付帯する情報の活用に専念できるのだ。
BDレコーダーとデスクトップPCを個別に購入すれば安価に済ますこともできるので、リビングにPCとレコーダーを置きたいだけの場合は、VGX-TP1DQ/Bの20万円前後という価格がお買い得とはいい切れない。だが、複合製品だからこそ実現できた、テレビ番組の新しい活用スタイルに魅力を感じるのであれば、文句なく買いの1台だ。
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