「PC遊び」が帰ってきた? 楽しいEee PC 901-X:小寺信良の現象試考(3/3 ページ)
ちょっとしたブームとなっている低価格モバイルPCだが、それの人気の元は価格や実用性ではなく、かつての自作PCブームを支えたのと同じ「PC遊び」なのではないか。
PCで遊ぶ意義
今にして思えば、昔のアキバ的自作の「PCで遊ぶ」という感覚は、いろいろなパーツを実装してみて安定して動くかどうか楽しむという、知的好奇心を満足させることを意味した。クロックアップ、ペルチェ素子による冷却、水冷などさまざまな試みがなされたが、一瞬でもOSが起動すればOK、というところがゴールではなかった。基本は安定して動作するギリギリを探す、というところが、重要だったのである。
そこはやはり、「実用になるかどうか」の技術のせめぎ合いだったのだろうと思う。そしてNetBookの登場で、再びいろいろ乗っけてみて遊ぶという楽しみが、また復活するのではないかという気がする。ハードウェアからソフトウェアにこそ対象が変わったが、実用になるかどうか、は常にPC遊びのポイントである。
しかし舞台がノートPCに移ったことで、ベンチマークの意味もまた変わってくるだろう。これからのターゲットは、処理速度ではなく、バッテリの持続時間にシフトすると思われる。不要なハードウェア機能を殺し、シンプルかつ実用的な構成にできるか。そしていかに効率的な省電力設定を構築できるか。
そこにはソーラーカーを自作したり、鳥人間コンテストに参加したりといったモチベーションにも似た、チューニングの醍醐味(だいごみ)がある。時代はエコであり、究極のエネルギー効率を目指す世の中なのだ。
今はまだそこまで手が回っていないようだが、そのうちBIOSをいじる剛の者も出てくるだろう。今後のトラブル防止のために、OSを立ち上げずに正規のBIOSをインストールする方法をメモしておく。
- 1 まずBIOSのファイル名を、モデル名に合わせる。例えば現時点での公式BIOSの最新は「1502.ROM」だが、これを「901.ROM」にリネームする。このBIOSファイルをUSBメモリに保存。
- 2 USBメモリをEee PCに差し込んで現在のBIOSを立ち上げ、Boot - Boot Settings Configurationで「Quick Boot」と「Quiet Boot」をDesableに設定。F10で保存&再起動する。
- 3 起動時にALT+F2を押しつづけると、自動的にBIOSアップデート開始。
言うまでもないことだが、改造BIOSのインストールは自己責任で。
もっとも、単純にバッテリライフを伸ばす最善の方法は、普通にWindowsXPを使うということだったりする。しかしあえていばらの道を進むというのが、遊びの遊びたるゆえんであろう。
過去順調だった頃のPC業界は、こうしたユーザーの遊びが積み重なって、次のトレンドやPC業界あるいは社会全体への貢献が成されていった。こういうユーザー層があるうちは、PCはまだおもしろいことが起きる余地があるということだ。
腕に覚えのある読者諸氏も、もういちどNetBookでPC遊びを復活してみてはどうだろうか。
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