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コラム

「プロフ」の何が問題か小寺信良の現象試考(1/3 ページ)

MIAUで“ネットの教科書”をリリースしたところ、次は「プロフ」について取りあげて欲しいという意見をいただいた。しかし、禁止するのみでは解決にならない。何が問題かを整理してみよう。

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 MIAUでネットリテラシー読本をリリースして、いろいろな方のご意見を伺っている(MIAUが“ネットの教科書”冒頭部公開 CCライセンスで)。ネットでは何をどうやっても必ず叩く人というのが出現するのが常だが、実際の教育現場の方々からは高い評価をいただいている。それもそのはずで、実はあの読本を作る前には、多くの先生方からかなり時間をかけてヒアリングを行なってきたのである。

 リリース後もさらにヒアリングを続けているが、次のテーマとして取り上げて欲しいもののトップが、どうも「プロフ」のようだ。「学校裏サイト」も問題の1つであるが、そもそも「学校裏サイト」というサイトがあるわけではない。個人ブログのコメント欄や掲示板が、「裏化」するものである。プロフにも掲示板機能があるので、そこもまた「裏化」する可能性がある。裏サイトは、とらえどころのないもっと広汎な問題だ。

 一方で「プロフ」を問題視する声は、比較的単純なように見える。多くは「プロフを使わせるな」というゴールが見えているからだ。

 今携帯で利用できるプロフサービスは、プロフの代名詞となった楽天の「前略プロフィール」を筆頭に、「Chip!!プロフ」、「ヤッピープロフ」、「チェキ!プロフィール」、「My・ぷろふぃーる」、「拝啓プロフィール」、「プチプロフ」など数多く存在する。「前略プロフィール」の成功を見て、昨年頃から参入が相次いだ。

 しかし、本当に「プロフ」というサービスそのものが問題なのだろうか。およそPCユーザーには縁のないこのプロフが、なぜ中高生を引きつけるのか、そして本当に問題視すべきはどこなのかを、整理してみたい。

プロフィールを交換する意味

 プロフとはそもそも、自分のプロフィールを公開するサービスとしてスタートした。プロフィールとはすなわち、アイデンティティである。自分の属性を示すということであり、そこには個人情報も当然含まれるだろう。

 大人の世界でも、ビジネスで合う人と名刺交換をするということが当たり前に行なわれているわけだが、あれも一種のプロフィール交換である。相手の役職を確認することはもちろんのこと、職種としてのカテゴリ、専門分野などが確認できる。単に連絡先を教え合うだけのことではない。

 しかし「一種の」と書いたとおり、そこにはパーソナルな情報の要素は薄い。名刺にいちいち好きな食べ物や好きなタレントを書いている人は、相当特殊であると言えよう。要するに名刺交換は社会人としての属性を伝えているわけであり、個人的に仲良くなれるかどうかは別問題なのである。

 プロフの場合は、ビジネスとしての付き合いよりも、いち個人同士の付き合いのために存在する。最大手である「前略プロフィール」では、次のような入力項目がある。

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 登録時に入力が必要なのはHN(ハンドルネーム)だけで、あとの項目は任意で入力する。未入力の項目は表示されない。多くの項目は話のタネになりそうな他愛(たあい)のないもので、ダイレクトにアイデンティティが特定できそうなものは、誕生日、住んでいるところ、職業、学年ぐらいだろうか。このあたりを妙に詳しく書いてしまうと第三者から個人が特定できてしまうが、ある程度は書かないと自己紹介にならない。そのあたりのさじ加減が中高生にできるかどうかが、微妙なところだ。

 なかにはHNの中に今週のスケジュールを書き込む子もいる。そういうところから自爆する可能性は高い。そのほか、顔写真を貼り付けたり、別のサイトへのリンクを張ることができる。入力情報だけでなく、そのあたりからも個人特定される可能性もあるだろう。

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