それは謎の女の電話で始まった――「イーグル・アイ」:本山由樹子の新作劇場
スピルバーグ製作総指揮によるアクション大作「イーグル・アイ」が早くもBlu-ray Disc化。謎の女の声にほんろうされるシャイア・ラブーフ。アクションとスリルに満ちた快作だ。
イーグル・アイ(Blu-ray Disc)
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スティーブン・スピルバーグ製作総指揮のサスペンス・アクション大作「イーグル・アイ」が2月13日にBlu-ray Disc化。
特典は未公開シーン、メイキング、衝撃の別エンディング、コンプリート・メイキング&インタビュー、国防の中枢〜「イーグル・アイ」・オン・ロケーション、それはすべてを見ている〜追跡技術という脅威、D・J・カルーソ監督&ジョン・バダム監督対談、NG集、フォトギャラリー、劇場版予告などを収録している。
コピーショップの店員として食いつなぐジェリー(シャイア・ラブーフ)に、国防総省のエリートである双子の兄イーサン(シャイアの一人二役)が急死したとの知らせが入る。それを機に、ジェリーの銀行口座に大金が振り込まれ、部屋に大量の爆薬と武器が届けられる。やがて武装した警官が乱入し、彼はテロ容疑で拘束されてしまう。
そんなジェリーを救ったのは、携帯にかかってきた謎の女の声。逃走したジェリーはレイチェル(ミシェル・モナハン)というシングルマザーと合流する。その女は2人の個人情報をすべて把握済み。しかも工事現場のクレーン、街中の信号、電光掲示板など、社会インフラを思うままに操ってみせる。女はレイチェルの子供を人質にとり、2人に不可解な命令を出し続けるが……。
本作は、スピルバーグが約10年前から温めていた原案を映画化したもの。なんでスピルバーグが自分で監督しなかったの?という疑問が浮かぶが、それは「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」の製作と重なったからだそう。大切な企画は信頼できる秘蔵っ子に任せようということで、「ディスタービア」のD・J・カルーソ監督に託したのだ。
主演はこれまたスピルバーグのお気に入り、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」でインディの相棒を演じたシャイア・ラブーフ。カルーソ監督とは「ディスタービア」でもタッグを組んでいる。もう1人、陰謀に巻き込まれるシングルマザーを「近距離恋愛」のミシェル・モナハンが好演。
主人公をほんろうする謎の女の名前はアリアと後に判明するが、彼女の素性や目的は不明。後半はアメリカ政府絡みのコードネーム「イーグル・アイ」の秘密が焦点となる。オープニングのアフガニスタンにおける米国軍事作戦シーンが伏線となっているので要チェック。ちなみにアリアの声は「ブラインドネス」のジュリアン・ムーアが担当している。
アリアの正体は?といったミステリー要素以外にも、「フレンチ・コネクション」の有名なカーチェイス・シーンを目指したという前半のチェイス・シーンも大きな見せ場だ。
スリルとアクションの娯楽作は、最先端テクノロジーが敵になる可能性があることを示唆し、情報化社会へ警鐘を鳴らした問題作でもある。「どっかで見たことがある」という不満も聞かれそうだが、娯楽作として十分楽しめる仕上がりなので、未見の人は是非どうぞ。
関連サイト:http://www.eagleeyemovie.com/intl/jp/(公式サイト)
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