120Hz駆動の“エコREGZA”が登場――東芝環境展
東芝のプライベート展示会「第18回東芝グループ環境展」が開催され、新しい低消費電力液晶テレビの試作機が展示された。新たに倍速駆動の液晶パネルを採用。「エコは気になるけど、画質は妥協したくない」人たちをターゲットにする。
東芝は2月5日と6日の両日、東京・浜松町にある本社ビルで「第18回東芝グループ環境展」を開催した。同社が昨年11月に策定した「環境ビジョン2050」のもと、環境負荷を抑えた製品の開発や、製造・流通における温室効果ガス低減に関する取り組みを紹介するプライベート展示会。会場には、消費電力を抑えた液晶テレビ“REGZA”の試作機も並べられた。
省エネを目指したREGZAの試作機は、37V型と42V型の2サイズ。おなじみのブーメラン型スタンドを備えた白いボディーを採用している。これは、昨年12月の「エコプロダクツ」(→薄型テレビはもっとエコになる)に出品したものと同一のデザインだが、「今回は120Hz駆動の液晶パネルを使用した」(同社)点が異なる。また、エコプロダクツの段階では発色の傾向が従来のREGZAと少し違う点が気になったが、今回はそれも改善されている様子。より製品に近い試作機といえそうだ。「倍速駆動はすでに必須。省エネ(がメインの製品)でも画質を落とすことはできない」(同社)。
今回の省エネ技術のポイントは、液晶パネルに使う光学フィルムの改善だ。バックライトは一般的なCCFL(冷陰極管)を使用しているが、より効率よく光を透過するフィルムに変更し、バックライトの明るさ(=電力消費)を抑える。
液晶テレビは、画質や視野角を改善するために偏光フィルムを用いるが、バックライトの光が通る際、フィルムの偏光性に直交する偏光成分以外は遮られて熱に変わってしまう。このため一般的な液晶テレビは、バックライトの光を半分程度しか有効に利用していないのが実情だ。
ところが新しいフィルムでは、「従来は遮られてしまっていた光の位相を90度回転させ、使える光に変えることができる」(同社)という。フィルムメーカーなどの詳細については教えてもらえなかったが、これによってバックライトの電力消費を最大で30%程度抑えることが可能になった。なお同社では、今回の光学フィルムをLEDバックライトと組み合わせ、より省電力なテレビを開発することも検討していくという。


REGZAの梱包(こんぽう)もエコに進化した。以前はスタンドを取り付けた状態で出荷していたため、箱が大きく輸送時効率が悪かったが、現在は分割して省スペース&省資源化。10トントラック1台で従来の2.7倍の製品を運搬できるようになった。設置時の組み立てが前提になるため、配送を行う販売店の協力も不可欠だった

「RD-G503」は、テレビの電源を入れなくても予約やその確認ができる液晶ディスプレイを装備(左)。展示では、なつかしい「RD-X1」を並べ、基板の集積度や消費電力を比較していた。エコになったのは分かるが、AVファンとしてはRD-X1の重厚さも捨てがたい

マグネシウムボディーの軽量ノートPC「dynabook SS RX1」は、半透過型液晶パネルとLEDのエッジライトシステムを採用。明るい場所(太陽光の下など)ではバックライトがなくても反射型液晶のように画面が見えるため、バックライトを消灯するスイッチを備えた。詳細は関連記事のレビューを参照してほしいCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Cell搭載で「REGZA」の画質はどう変わる?――東芝ブース
東芝ブースには、高速プロセッサCellを活用した次世代REGZA(通称、Cell TV)が展示されている。今年秋にも投入される予定のCell TVをじっくり観察してみよう。
Cellテレビが秋に登場、1週間の番組を“まるまる録画”
1月7日に行われた東芝アメリカのプレスカンファレンスでは、注目のCell TVに関しても多くの情報が出た。日本では50型台のフルHDタイプを2009年秋に投入する見込みだ。
薄型テレビはもっとエコになる
日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2008」が12月11日に開幕。家電メーカーのブースには最新の薄型テレビやコンセプトモデルが並んだ。中でも東芝は、2009年の発売を目指す低消費電力液晶テレビの試作機を展示している。
“新しい価値観”を提案するエコプロダクトたち
東京ビッグサイトで開幕した「エコプロダクツ2007」では、手動充電のカメラから、蛍光灯の見事なリユースまで、人の“価値観”を刺激するさまざまなエコプロダクトを見ることができる。
黄金REGZAも登場――東京デザイナーズウィーク開幕
毎年恒例となっているデザインイベント“東京デザイナーズウィーク”が今年も開幕。インテリアから時計まで、気になったプロダクトを紹介しよう。
「RX1は終点でない」東芝が目指すモバイルノートPCとは
J-3100、DynaBook、Libretto……。東芝のノートPCはいつも新しい時代を切り開く。「RX1」はその究極の姿と思えるスペックを有するが、開発陣は“その先”を見据えている。
モバイルPCに理想型があるなら、それは「RX1」かもしれない
東芝の意欲作「dynabook SS RX1」は、モバイルノートPCに求められる携帯性と使い勝手に徹底してこだわった製品だ。真昼の公園でモバイルを堪能してみた。
