録画に強く、ゲームにも強い REGZA新「Zシリーズ」詳報:B-CASカード2枚挿し(3/3 ページ)
「見ながらW録」にUSB HDDの4台同時接続、遅延時間を短縮した「ゲームダイレクトモード」など、見どころの多いREGZAの「ZX9000/Z9000」シリーズ。製品企画および開発担当者のコメントを交えながら、強化ポイントを詳しく紹介したい。
ゲームに最適な液晶テレビへ
液晶テレビ、とくに倍速駆動の液晶テレビにとって、素早い反応が求められるアクションゲームは不得意なコンテンツだ。倍速駆動のためにフレームをバッファしたり、I/P変換やスケーラーといった信号処理により、入力信号に対して数フレームぶんの遅延が生じるためだ。通常のテレビ視聴では分からないレベルではあるが、シビアな格闘ゲームなどでは、たった数十ミリ秒(1秒の1/1000)の遅れが“生死”を分けるケースもあるという。
従来のREGZA(Z8000シリーズ)にも「ゲームモード」はあったが、映像処理による信号遅延で約3フレーム、時間にして約50ミリ秒の遅延が生じており、ゲームに関してはあまり得意とはいえなかった。対して今回のZシリーズでは、遅延時間を大幅に短縮する「ゲームダイレクトモード」を新設。1080P入力時で遅延時間を約18ミリ秒、フレーム数で1.1フレームの遅れ(パネルによる遅延は除く)にとどめている。
遅延が抑えられる理由は、映像信号に対するI/P変換、スケーラー、各種ノイズリダクションの処理を省略し、信号を直接高画質回路に入れること。このためゲームダイレクトモードを利用する際は、入力信号が1080P/720P/480Pといったプログレッシブの60Hz信号に限られる。「プレイステーション3」や「Xbox 360」を想定したモードといえる。
ゲームモードはこれだけではない。任天堂「Wii」のようなHDMI入力非対応のゲーム機に対しては、D2入力の信号を水平オーバーサンプリングとオール4:4:4処理によって色にじみを抑える処理を追加。また、Wiiのバーチャルコンソールなどで楽しめるレトロゲームに向け、真円率100%かつ2倍拡大表示で“ドット画らしい画面”を再現する「レトロゲーム・ファイン」を用意するなど、さまざまなモードを追加した。
「レトロゲーム・ファインは、古いゲームのドット感を大切にして現信号に忠実な映像を表示するモード。従来のテレビでは、“見やすい映像”にしようと拡大画像にスムージングをかけて、結果的にぼんやりした映像になってしまうケースが多かった。レトロゲームファインを使えば、昔楽しんだゲームの感覚をそのまま、大画面の液晶テレビで楽しめるだろう」(住吉氏)
さらに、「PSP」の小さな画面を3倍もしくは4倍に拡大する「ポータブルズーム1/2」も用意。「PSPの場合、480×272ピクセルという変則的な解像度のため、これまでは上下に黒枠が表示されていた。しかしゲームポータブル2(4倍拡大)なら、画面いっぱいに拡大できる」。ちなみに、3倍拡大のポータブルズーム1の場合は上下左右に黒枠ができるが、3倍オーバーサンプリングによる「こだわりの画質」でPSPゲームが楽しめるという。どちらを選ぶかは好み次第だ。
ヤマハAVシステムと連携
新しいZX/Zシリーズでは、「Yahoo! JAPAN/Yahoo!動画」や「アクトビラ ビデオ・フル」「ひかりTV」、DLNA(DMP)といったネットワーク機能も健在だ。残念ながらDLNAは、AVCファイルのネットワーク再生に対応していないが、Windows 7搭載PCとの組み合わせなら、PC側で動画フォーマットを変換・送出してくれる。
HDMI CECの「レグザリンク」は、新たにヤマハ製のAVシステムとの高度な連携が可能になった。例えば、番組のジャンル情報を使ってAVシステムの音声モードを自動的に切り替えたり、シネマDSPのサラウンドメニュー変更(一部)、ヤマハ独自の自動音量調整システムのオン/オフといった操作をレグザリモコン IIで行える。これまでは同じメーカーの薄型テレビとラックオーディオの組み合わせでしか実現できなかった連携機能をカバーしたことになる。
対応するヤマハ製品は、同日発表の新しいサウンド・プロジェクター「YSP-4100」で、ヤマハによるとAVアンプなどへの展開も視野に入れているという。なお、HDMI入力はZX9000/Z9000シリーズともに4系統。従来通り「InstaPort」に対応している。
関連記事
- 東芝が“REGZA”を一新、5シリーズ25モデルを投入
東芝は9月16日、液晶テレビ“REGZA”の2009年秋モデルを発表した。大画面化にくわえ、25モデル中21モデルが録画対応。スタンダードモデルでも外付けUSB HDDを加えるだけで録画できる。 - ヤマハ、Blu-ray Discに対応したサウンドプロジェクター「YSP-4100」発表
ヤマハ、デジタル・サウンド・プロジェクターの新しいフラグシップモデル「YSP-4100」を10月に発売する。新たにBlu-ray DiscのHDオーディオをサポート。ビーム出力は7.1チャンネルになった。 - 東芝、同社初のBlu-rayプレーヤーを米国で発表
東芝初のBlu-rayプレーヤーは米国で11月に発売される。 - LEDバックライトでどう変わる? 東芝「55ZX8000」
各社の売れ筋40V型クラスを紹介してきた今回の特集。最後に番外編として、フラグシップモデルの55V型を取り上げる。1クラス上の実力を持ち、価格も相応に高くなるが、具体的に何が変わるのだろう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.