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NHK、裸眼でも自然な立体映像が見られる“インテグラル立体テレビ”をケンウッドと共同開発:奥行きの範囲が2倍に
NHK放送技術研究所の“インテグラル立体テレビ”がJVC・ケンウッド・ホールディングスとの共同研究で進化。奥行き感の大幅な向上に成功したという。
NHK放送技術研究所は5月20日、“インテグラル立体テレビ”をJVC・ケンウッド・ホールディングスと共同で研究し、奥行き感の大幅な向上に成功したと発表した。
これまでのインテグラル立体表示イメージ(左)。鮮明に見える奥行き範囲が限られており、その範囲よりも手前と奥の映像がぼやける。今回研究後のインテグラル立体表示イメージ(右)情報量が増えたため、鮮明に見える奥行き範囲が2倍となり、奥行き感が向上したという
インテグラル立体テレビとは、特殊なメガネを使用せずに水平/垂直方向と観察者の視聴位置に応じた自然な立体像を見ることができる3次元ディスプレイ技術“インテグラル方式”を採用したテレビ。縦横の異なる様々な方向から見た映像を表現するため、きわめて高い解像度で撮影、表示する超高精細映像技術が必須となっている。
これまで同研究所は、7680×4320ピクセルの解像度のSHV(スーパーハイビジョン)技術を応用してきたが、解像度や奥行き感をさらに改善するにはSHVを超える情報量の超高精細映像の技術が必要となったため、SHVの緑色(G)の画素数を2倍にする“画素ずらし技術”と映像を鮮明にするデジタル信号処理を応用し、インテグラル立体テレビ用の超高精細映像を開発。加えて、レンズアレー(微小レンズを多数配列したもの)のレンズ並びの精度を向上させるなど、同映像に適した光学系の開発も行った。これにより、従来と比べインテグラル立体像を鮮明に再現できる奥行きの範囲が2倍にまで広がり、画面全体の画質も向上できたという。
本研究の成果は、5月26〜29日に開催するNHK放送技術研究所の一般公開で展示される予定だ。
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