躍動的でダイナミック、それでいて心地よいサウンド、Shure「SRH1840」:野村ケンジの「ぶらんにゅ〜AV Review」(2/2 ページ)
SRH1840は、シュアとしては初のオープンエアー型ヘッドフォン。フラッグシップと呼べるポジションに位置しており、作りもかなり凝っている。
ボーカルにしっかりとした厚み
以前にもサンプル機を試聴させてもらっていたので、おおよその音色傾向は記憶していたのだが、改めて試聴してみると、そのダイレクトなサウンドに改めて驚く。ベール感をまったく感じない、とてつもなくストレートな音楽表現なのだ。さらに抑揚がとてつもなくダイナミックで、それでいて解像度感も超絶に高い。高域も低域も、これでもかというほどにワイドレンジで、しかもいっさいのギミックがない、素直で自然な帯域バランスを持ち合わせている。すばらしい、という言葉を繰り返したくなるくらい、優れた音響特性だ。
けれども、SRH1840の魅力はそれだけではない。特性のよいモニター系ヘッドフォンであるにもかかわらず、ボーカルにしっかりとした厚みが感じられ、しかもストレスのない伸びやかな歌い上げを披露してくれるのだ。声を張り上げたときなど、まるでこちらの体が震えそう。力強く、そして響きのよい歌を聴かせてくれるのだ。これはたまらない。ピアノの響きにわずかな癖を感じるので、意識的に高域にある程度のピークをもたせているようだが、これはモニター系ヘッドフォンであれは標準的な仕様でもある。逆に、それでも高域にいっさいの刺々しさを感じないところに、代えがたい魅力と価値観を感じる。
このように、SRH1840は、モニター用としても理想的といえる優れた特性を持ちつつ、音楽を躍動的に、心地よく聴かせてくれる、魅力的なサウンドの持ち主であることは充分に確認できた。また1台、筆者の手元にShureのヘッドフォンが並ぶことになりそうだ。
音質評価 | |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−−○きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−−○ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−−○フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) |
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