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異色のハードディスクレコーダー、「nasne」を徹底検証(前編)複数台あるとどうなるの?(1/6 ページ)

話題の「nasne」(ナスネ)がいよいよ発売された。物理的なユーザーインタフェースを持たず、すべての操作をネットワーク経由で行う、従来にないレコーダーだ。まずは「プレイステーション3」などと組み合わせて試用した。

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 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から8月30日に「nasne」(ナスネ)が発売された。もともと7月に発売する予定だったが、出荷開始時に初期トラブルが発覚し、発売を延期していたもの。最初はちょっとゴタゴタしたものの、従来にない異色のレコーダーとして注目度は高い。

 nasneは、デジタル3波チューナーと500GバイトのHDDを内蔵し、家電でいえばHDR(ハードディスクレコーダー)にカテゴライズされる製品だ。特徴的なのは、映像・音声出力に加えてリモコンなどの物理的ユーザーインタフェースを持たず、全てをネットワーク経由で処理してしまう部分。SCEではネットワークレコーダーとして位置付けている。またSCEからの販売されることからプレイステーション3(以下、PS3)の周辺機器の1つであるのは間違いないが、テレビの録画・再生に必ずしもPS3の存在は必須ではない。この部分はPS3で地デジの録画・再生を可能にする「PS3専用地上デジタルチューナー」(torne)とは全く異なる。


nasne(CECH-ZNR1J)は1万6980円で販売中。そのデザインからしてHDRとしては異質の存在だが、あえて同ジャンルの製品を振り返るなら“チャンネルサーバー”と呼ばれたソニーの「Cocoon」、とくに縦型でスカパー!録画にも対応した「CSV-P500」だろうか

 では、nasneは一般のHDRと何が違うのだろうか。大きなポイントはネットワーク対応と、そのネットワーク対応における高い汎用性だ。各種設定は、WebブラウザからnasneのWebサーバにアクセスして操作する仕組みで、録画予約についてはWebサービスの「chan-toru」(チャン・トル)を介して行う。録画番組の再生機能はDTCP-IP対応のDLNAサーバとして提供し、対応クライアントであればPCでもテレビでも再生が可能だ。例えばスマートフォンやタブレット端末だけでnasneを利用することもできる。そしてLAN接続さえ可能なら、理論上nasneは何台でも併用できる(ソフトウェアによる台数制限あり)。

 nasneは単体で見れば1台で同時には1つの番組しか録画できないシンプルなHDRだ。しかしネットワーク対応なので、ソフトウェアさえ準備すれば複数台の集中管理も容易にできる。ここが同価格帯にある「HDD録画機能付き地デジチューナー」との大きな違いだ。プレイステーション3では最大4台、VAIOでは最大8台のnasneを専用ソフトから管理でき、操作性はマルチチューナーを搭載した最新のBDレコーダーと同様。異なる部分があるとすれば、チューナーごとに録画用HDDが接続されていることだが、専用ソフトはこの点にも配慮した仕様になっている。

前面には動作状態の確認できるインジケーターを配置。側面には遠慮がちな「nasne」ロゴが入っている。背面は上端が少し出っ張り、下方へ弧を描くようなデザインになっているが、この部分には電源スイッチがある。誤操作防止とともに、前方から手探りでも電源スイッチの位置が分かりやすいというメリットがある

 また冒頭でも触れたが、PS3専用周辺機器である「PS3専用地上デジタルチューナー」との違いは、nasneがスタンドアローンで録画することだ。「PS3専用地上デジタルチューナー」もレコーダのコアパーツとなるチューナーやエンコーダーは内蔵しているが、録画番組の保存先はPS3内蔵HDDもしくは外付けのHDDであり、さらに制御もPS3上のアプリ「torne」で行う。つまり、スタンバイ状態を含めてPS3が正常動作していることが前提になる。

 例えば「PS3専用地上デジタルチューナー」で録画中になんらかの理由でPS3がフリーズすると録画も中断されてしまうが、nasneの場合は録画動作をあくまで単体で行うため、連携機器の動作状態を気にする必要がない。レコーダーとしての信頼性もnasneの方が圧倒的に高いといえるだろう。

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