ゴージャスな外観にイキイキとしたサウンド、フィリップス「Fidelio S2」:野村ケンジの「ぶらんにゅ〜AV Review」(2/2 ページ)
この春発売されたフィリップスの「Fidelio S2」。エージングに多少の時間が必要だったが、数カ月にわたって使い続けたところ、プレミアムシリーズにふさわしいイキイキとしたサウンドを聴かせてくれた。
さて、しっかりエージングができた“本領発揮”の「Fidelio S2」サウンドはいかがなものかというと、メリハリの良い、イキイキとしたサウンド。タップリとした量感を持ちつつも十分なフォーカス感を確保した低域と、鋭いけど素直な特性の高域によって、印象度の高い、力強い演奏を聴かせてくれる。音色も自然というか、リアルな傾向。そのうえヌケが良いため、とてもリアルに感じられる。バランスよりも個々の音の魅力が際立つ傾向だ。
おかげで、女性ボーカルなどは最高に魅力的なサウンドを楽しめる。ややカスレながらも、密度感の高い、それでいて勢いのある歌声を聴かせてくれるのだ。そのため、普段よりも感情表現が5割増しに感じられ、かなり音楽に引き込まれる。言い替えれば情緒的、臨場感が高いサウンドといえるだろう。
音楽ジャンルとしては、ハードロックやジャズなどとの相性が良かった。低域はそれほどタイトではないのだが、フォーカス感が高いため演奏がリズミカルに聴こえる。普段よりもいくぶんノリのいい演奏を楽しむことができた。
ちなみに、新品のときは低域のキャラクターがかなり異なっていて、量感もフォーカス感も足りない状態だった。そのため、かなり硬い印象を感じてしまったようだ。100時間も聴いていると、それがずいぶんとほぐれるので、本領を発揮されるためには、じっくりつきあって上げる必要があるのは確かだ。
と、そこまで試聴した後、実売価格を調べてビックリ。おおよそ1万円ちょっと、1万2000円前後の価格帯となっているのだ。ここまで音質的なクオリティーを保ちつつも、それに甘えずリアルな音色とノリのよいグルーブ感を楽しませてくれる点については、さすがといいたくなる。“ゴールデンイヤー”スタッフによるブラインドチェックを行い、音質に関して徹底的な追及を行うフィリップスだからこその、上出来な製品だ。
音質評価 | Fidelio S2 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
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